少女の発言だけで200人が処刑？セーラム魔女裁判の恐るべき真実とは！

今回紹介する都市伝説はアメリカで魔女と言われた人々を裁判にかけた話！
その名も「セーラム魔女裁判」についてでっす！！

魔女裁判かぁ……。
魔女裁判って聞くと、ただ女性を虐殺してたイメージしかないんだけど……。

そんなことないよ。
ちゃんと男性も処刑になってるから

いや、そういう意味じゃなくて……。

まぁたしかに理不尽な裁判が行われてたのは間違いないけどね。
それじゃさっそく理不尽極まりない魔女裁判について紹介していきまっす！

魔女の元に集まった少女達

この魔女裁判が起きるきっかけとなったのは1691年3月の出来事。
アメリカのマサチューセッツ州の教会で“ある事件”が起きるんだ。

教会で事件が起こったって聞くだけで何かちょっと不思議な感じがするわね。

その教会には西インド諸島から使用人として連れてきた奴隷の女性「ティチューバ」という女性がいたんだけど、ティチューバは夜になると、牧師の娘の「エリザベス」やその従姉妹の「アビゲイル」に魔術を見せていたんだ。

へぇー。
なんか「インドの魔術」って聞くと神秘的ね。
ちなみにどんな魔術なの？

まぁ魔術っていっても占いみたいなもんだよ。
昔の教会の人って日が落ちると外に出ることが禁止されていたから、かなり暇をもてあましてたらしいんだよ。

ああ、占いでも見て暇をつぶそうとしてたって訳か。

そそ。
でも何もやることないってある意味うらやましいよね。

アンタもいつも暇してるじゃない。
いつ声かけても予定空いているし。

それは言うこと聞いとかないとあとが怖いからだよ……

え？何？

その話はおいといて、そんな訳で魔術を毎晩見せているうちに村の娘達もテイチューバのもとを訪ねるようになったんだよ。

そして次第にティチューバの占いは人気になって、最終的には20歳以下の子供達が10人ぐらい集まるようになったらしい。

今も昔も女の子の占い好きは変わらないわね。

だけど、ティチューバの元に集まった少女達の身にある異変が起きたんだ。

異変？
さっき言ってた事件ってやつ？

そう。
簡単にいうとみんなおかしくなってしまったんだ。

悪魔憑きと診断された少女たち

一番最初に異変が起きたのは一番年下だったエリザベス。
エリザベスは占いの途中に恍惚状態になっちゃって長い間宙を見つめていたかと思うと、急に悲鳴を上げて倒れたらしい。

え。何それ。

しかもアビゲイルも同じような状態になって、さらに喉が詰まったようにゼイゼイと声を出していたらしい。

異変に気づいた家族は豹変しているエリザベスやアビゲイルをみて神に祈ったんだけど、神の名を口にするたびに少女たちは耳を押さえながらわめき続けるという奇行まで現れたんだ

ああ、外国でよくある「おぉ、神よ」ってやつね。

まぁ両親が牧師って事も関係してるんだろうけどね。

そして神の名前を聞くたびにヒステリー状態になる娘の行動に異変を感じた家族は「ジョン・ヘイル」という牧師に悪魔払いを依頼するんだ。

ほう。

ただ、ジョンは聖水を使って悪魔を祓おうとしたんだけど、ものすごい勢いで聖書や聖水投げ飛ばしてしまったんだって。

ちなみに一体何が原因なの？

残念ながらわかってない。
ただ、牧師じゃなくて普通の医者も呼んだみたいなんだけど、結局は「悪魔に憑かれた」っていう結論に達したみたいだね。

魔女扱いされたティチューバ

この事件がきっかけで後々、大事件に発展していくんだけど、一番最初の被害者は魔術を披露していた黒人の使用人であるティチューバ。
牧師はティチューバこそが悪魔を使役する魔女だと疑って彼女を拷問したんだ。

拷問……。
今では考えられないわね。

そう思うと今の世の中は平和だよね。
そして拷問を受けた結果、ティチューバは「ブードゥーの妖術」を使ったことを自白したんだよ。

自白……。
拷問で自白するなんて絶対それは「自白」じゃないわよね……。

当時は白人が黒人を虐げてる時代だし、明らかに「言わされてる」感が満載だよね。

そいやティチューバが使ったっていうブードゥーの妖術って何？

ブードゥーの妖術っていうのはブードゥー教によく出てくる魔術だよ。
黒人の信者の多い宗教で、今は「ブラックマジック」という総称で呼ばれているんだ。

ちなみに第二次世界大戦では人形を使ったブードゥーの呪術でヒトラーを呪い殺そうとしていたこともあるらしいよ。

日本でいう藁人形を使った呪いみたいね。

あ、そうそう。
イメージはそんな感じ。

で、結局その人形を使って少女達をおかしくさせたって思われたわけね。

そう。
そしてこの事件がきっかけで、後々「セーラム魔女裁判」とよばれる大事件に発展していくんだ。

さらなる魔女の登場

今回の事件は黒人のティチューバが魔女として不幸な死を遂げて終わりかと思いきや、さらに大きな事件へと発展していきます

ほう？

実は事件が起きた時に牧師が娘達に誰が魔女かを聞いたんだけど、2人の少女はティチューバ意外に2人の女性の名前を伝えたんだ。

その人達もティチューバと同じで魔術を使っていたって言われたの？

そうなんだよ。
その女性は「サラ・グッド」と「サラ・オズボーン」っていう女性なんだけど、この二人はホームレスだったり教会に顔を出さなかったり、いわゆる「社会的弱者」だったらしい。

そして、裁判所に呼ばれた彼女たちは当然、女性達は無実を主張したんだけど……

何かあったのね。

裁判の場に同席していたエリザベスやアビゲイルが裁判中に突然発作を起こしてしまったんだ。

え？
その場にいただけなのに？

そう。
そして裁判長は少女達の体の異変を目の当たりにした結果
「魔女と間違いない」
という判断を下して正式な裁判をせずに死刑判決を言い渡してしまうんだ。

いやいやいや、普通は逆でしょ。
仮に本当に魔女だとしたら自分の身に危険が迫ってるときに魔法なんて使わないでしょ……。

だよね。
この辺から徐々にきな臭くなってくるよ。

いわゆる魔女狩りってやつね。

魔女として告発された200人もの人々

そしてこの魔女裁判はどんどんと炎上していきまっす。

最初の事件の被害者と言われていた少女たちは次々に魔女である人物を告発。
そして最終的に告発された人数は男女含めて200人以上になったんだって。

そんなに！？おかしくない？

少女達が発作中にだれかの名前を叫ぶとその人は即逮捕されていたからね。

それだけで……？
もっとちゃんと証拠がないと逮捕しちゃだめでしょ……

セーラム魔女裁判の内容

ここからは魔女として告発された人々について紹介していくよ。
第１回目の魔女裁判の被告は、セーラム港の居酒屋の女将「ブリジェット・ビショップ」

居酒屋のママかー。
派手そうね。

実際そうだったみたいで、その身なりから近くに住むキリスト教のピューリタンの人達にはかなり嫌われていたんだって。

夜の世界で生きるってなにかと大変よね……。

そして数人のピューリタンの人たちは「彼女の分身霊によって眠りを妨げられた」と証言。
その結果、ブリジェットは絞首刑になって「縛り首の丘」と呼ばれる大きなオークの木の枝に吊される事となってしまう。

私には「嫌いな人を魔女に仕立て上げた」っていうただの嫌がらせの延長に聞こえるけど

「隣人を愛せ」っていうキリスト教の教訓はどこいったんだろうね……。

2回目の魔女裁判は「レベッカ・ナース」という人が、ほかの4人の女性といっしょに裁かれることになるんだ。

この人はどんな人？

レベッカは常に信仰心があつくて、努力家だったようで、村でも重要な役職に就いていて人望もあった人物。
耳が聞こえないっていう障害があったらしいけど子供たちをとても愛していた老婦人だったんだって。

そんな人が魔女だなんて……
しかもあんまり告発されるような要素もなさそうなのに……。

裁判では、レベッカ以外の4人はすぐに有罪になったんだけど、陪審員たちはレベッカだけ無罪にした。

そうよね。
聞くだけで良い人なのが分かる人だもの。魔女なわけないわよね。

だけど、当時の裁判長はこの結果に納得いかず、怒って再考を求めた。
そして陪審員は協議の結果レベッカを有罪にしちゃったんだ。

上司には逆らえないってこと……？

実際はどうなんだろうね……。
でも、結果的にはレベッカ・ナースは他の4人ともども絞首刑にされたんだよ。

うわぁ……。

そして事態はどんどん最悪の方向へ向かっていく一方で、少女たちはさらにいろいろな人の名前を出し続けたんだ。

なんだか怪しい雰囲気ね。
適当に名前挙げてるように聞こえてきたけど……

真実は分からないけどね。
でも、魔女裁判はどんどん悪化する一方だったんだ。

これ以上悪化しようがあるの？

んー。
例えば一番初めに魔女とされた人物の夫が無実だと言い張ったまま拷問にかけられて死亡したり、牧師の奥さんまでもが告発されたり、無法地帯みたいになっていったんだよ。

牧師さんの奥さんってことは、被害者エリザベスのお母さんよね。

そういうことになるね。

もう完全に秩序が失われちゃってるじゃない。

1人の権力者により魔女裁判は収束へ

そして1693年にこの魔女裁判は終焉を迎えます。

2年以上も続いてたのか……。

ちなみにどうやって終わったの？

終止符を打つことになった決定打はフィリップス州知事による裁判中止命令。

さすが知事！ツルの一声ね。

でも、対応が遅くない？

それまで知事はカナダの国境でインディアンとの抗争で手を取られてたんだって。
当時は先住民との抗争が激しかったからね。

戦争から帰ってきたら、大変な事態になっていた……ってわけね。

この裁判中止の命令が出たのは1693年5月。
フィップス州知事は魔女容疑をかけられ告訴された者全員の釈放と亡命者たちの安全を確保。
ちなみに知事が裁判の中止命令を出した時点で200名もの人物が逮捕されていたんだって。

ただ、残念な事に既に処刑が執行されちゃってた人もいて、200人の逮捕者のうち19人が絞首刑、1人が圧死、2人が獄死したんだって。

圧死？

正確には拷問死だね……

うっ……。

もしこの事件が「少女たちの狂言」だったとしたらとんでもないことだよね……。

そういえばその点はどうなの？
少女たちの証言は本当に正しかったの？

魔女裁判の原因

この都市伝説にまでなっているこのセーラム魔女裁判。
原因はいろいろと考えられているんだけど、有力なのは児童虐待やピューリタン社会独特の抑圧による集団ヒステリー説や麦角中毒症による集団幻覚説が一般的だね。

社会問題はともかく最後のなんとか中毒症って？

麦角中毒症ね。
麦角菌っていうのに侵されると、脳の血流が不足して精神異常とかけいれん、意識不明、さらに死んでしまうこともあるっていう中毒症のことだよ。

怖っ！
その菌ってどこにいるの？名前の通り麦の中？

そう。
この魔女騒動も麦角菌に汚染されたライ麦食べてしまった少女たちが原因じゃないかとも言われているんだよ。

とりあえず裁判は終わったみたいだけど、その後少女達はどうなったの？
症状は良くなったの？

裁判が終わった後の少女たちの消息についての記録は何も残っていない。
少女を守るためなのか不祥事を隠すためなのかはわからないけどね。

これが200人もの魔女が逮捕されたセーラム魔女裁判の全貌。
200人が年端も行かない少女たちの証言だけで逮捕されるってなかなか怖い事件でしょ？

科学が発達してくれて感謝って感じね……。