あ、なんか聞いたことある……。ロボトミーってあれでしょ……?
なんか脳みその一部を切り取って何でも言う事を聞くロボットみたいな人間を作り出す手術の事でしょ……?
なんか脳みその一部を切り取って何でも言う事を聞くロボットみたいな人間を作り出す手術の事でしょ……?
んー……。途中までは合っているけど最後の方はちょっと違うかな……?
というか、ロボトミーのロボをロボットのロボって思ってるでしょ……?
え、違うの?
詳しくは後で紹介するけど全然違うよ。
あとマキエはロボトミーを洗脳手術みたいに思っているかもしれないけど、発明された当時は画期的な精神外科手術だったんだよ?
あとマキエはロボトミーを洗脳手術みたいに思っているかもしれないけど、発明された当時は画期的な精神外科手術だったんだよ?
え、そうなの?
ロボトミーってなんか悪いイメージしかないんだけど。
ロボトミーってなんか悪いイメージしかないんだけど。
まぁ今では危険すぎるし高確率で死亡したり廃人状態の人間が生まれてしまうから悪魔の手術って呼ばれているんだけどね……。
やっぱダメな奴じゃん……。
まぁ前置きはこれぐらいにしてさっそく紹介していきまっす!
ロボトミーの概要と歴史
それじゃ、まずは今回の話を紹介する前に簡単にロボトミーの概要と歴史から紹介していきたいと思いまっす。
1ミリも興味が沸いて来ない……。
まぁそう言わずに……。
このロボトミーという手術は知っている人も多いと思うけど、精神疾患の患者の脳を一部切除することで精神障害を治療するという外科的手術の一つです。
そしてロボトミーの基礎理論というか世の中に誕生するきっかけが生まれたのは1935年。
アメリカのイエール大学では2匹のチンパンジーを使って脳の研究を行っていたんだけど、2匹のチンパンジーは実験される度に暴れだしたりヒステリックを起こして、いわばノイローゼ状態になっていたんだ。
アメリカのイエール大学では2匹のチンパンジーを使って脳の研究を行っていたんだけど、2匹のチンパンジーは実験される度に暴れだしたりヒステリックを起こして、いわばノイローゼ状態になっていたんだ。
ノイローゼって言うか、それが普通の反応だと思うけど……。
ただ、そのチンパンジーたちの前頭葉の一部を切り取ったところ、2匹の内の1匹はヒステリーが収まって実験に協力的になり、研究チームは「前頭葉を切除するとヒステリーやノイローゼが治癒された」と発表。
いやいや……。
実験の対象にされている動物が協力的になる時点で既におかしくなってるだけだから……。
実験の対象にされている動物が協力的になる時点で既におかしくなってるだけだから……。
まぁそうなんだろうけどね……。
ただ、その発表を知り人間にも応用ができると考えて、初めて人間の前頭葉の切除手術を行ったのがポルトガルの神経科医だった「アントニオ・エガス・モニス」。
モニスはかつてより「精神病は脳の病気である」という考え方を持っていた人物なんだけど、イエール大学の研究チームが発表した内容を知って「前頭葉の白質を切除すれば精神病は治癒する」と考えたんだ。
モニスはかつてより「精神病は脳の病気である」という考え方を持っていた人物なんだけど、イエール大学の研究チームが発表した内容を知って「前頭葉の白質を切除すれば精神病は治癒する」と考えたんだ。
何をどう考えたらそうなるのよ……。
モニスの考えを大雑把に説明すると
「精神病は前頭葉の神経に誤配線が起きているのが原因で、それを切断すれば正常な伝達回路が形成される。」
と考えていたみたいだね。
「精神病は前頭葉の神経に誤配線が起きているのが原因で、それを切断すれば正常な伝達回路が形成される。」
と考えていたみたいだね。
切断した後に形成されない可能性は考えなかったのカシラ……。
そしてモニスはこの手術を「ロイコトミー」と名付けて数回にわたる手術を実施。
さらにイエール大学の研究チームが発表を行った翌年の1936年にはロイコトミーの手術結果を発表したんだ。
さらにイエール大学の研究チームが発表を行った翌年の1936年にはロイコトミーの手術結果を発表したんだ。
ん?
ロボトミーじゃなくてロイコトミー?
ロボトミーじゃなくてロイコトミー?
うん。
ロボトミーが出てくるのはもう少し後だよ。
ロボトミーが出てくるのはもう少し後だよ。
ちなみにロイコトミーとロボトミーの違いは切断する脳の場所が少し違うんだ。
ロイコトミーやロボトミーはラテン語を使った造語なんだけど、“ロイコ”は“前頭葉白質”って意味で“トミー”は“切断”って意味があるんだ。
ロイコトミーやロボトミーはラテン語を使った造語なんだけど、“ロイコ”は“前頭葉白質”って意味で“トミー”は“切断”って意味があるんだ。
じゃぁロボトミーは?
ロボトミーの“ロボ”は“前頭葉”、“トミー”は同じく“切断”だね。
ふーん。
で、話を元に戻すけどモニスが行ったロイコトミーは精神病棟に入院していて社会復帰が困難と言われていた不安症や鬱病の患者を見事退院させ、モニスは最終的にノーベル生理学・医学賞を受賞する事になるんだ。
え、すごいじゃん。
ただ、無事に社会復帰ができる様になった人もいれば何も変化が起きない人や下手をすると悪化する人もいて、画期的ではあったけど完璧な手術ではなかったんだよ。
脳を切除した上に悪化するって、洒落にならなさそうね……。
3,000人以上の脳を切り取ったウォルター・フリーマン
そしてロイコトミーを手軽に、かつ一般的な手術として確立させたのが今回のメインテーマである「ウォルター・フリーマン」。
フリーマンはアメリカ精神医学会のメンバーで精神科医だったんだけど、モニスが行ったロイコトミーに感銘を受け、モニスの元でロイコトミーを学びつつ独自の術式を生み出すんだ。
それがロボトミー?
そう。
元々フリーマンは外科医の資格がなかったから、手術を行う時は神経外科医のジェームズ・ワッツという医師と協力して行っていたんだけど、ロイコトミーが発明されてから約10年後にイタリアの精神科医「アマロ・フィアンベルティ」の論文を読んで眼窩を経由すれば簡単に前頭葉に接触できることを知るんだ。
元々フリーマンは外科医の資格がなかったから、手術を行う時は神経外科医のジェームズ・ワッツという医師と協力して行っていたんだけど、ロイコトミーが発明されてから約10年後にイタリアの精神科医「アマロ・フィアンベルティ」の論文を読んで眼窩を経由すれば簡単に前頭葉に接触できることを知るんだ。
そしてフリーマンは頭蓋骨を切開することなく行えるロボトミー、その名も「アイスピック式ロボトミー」を確立させたんだ。
アイスピック式ロボトミー……?
アイスピック式ロボトミーは名前の通りアイスピックのような長い棒を使って行われるロボトミーで、両目の眼球の上から金属の棒を差し込んで、金づちで叩いて頭蓋骨を貫通させる。
そしてアイスピックを前後左右に動かして無造作に前頭葉の神経線維を切断するという方法……。
そしてアイスピックを前後左右に動かして無造作に前頭葉の神経線維を切断するという方法……。
やめて……。
マジでなんか気持ち悪くなってきた……。
マジでなんか気持ち悪くなってきた……。
しかもこの方法だと頭蓋骨を切除する必要もないから手軽に行える上、当時は世界大戦の影響もあって精神病院は精神病患者があふれていたせいで大流行するんだ。
脳手術が手軽に行える時点でちょっと問題があると思うんだけど……。
まぁ当時は戦争から帰ってきた心的外傷を追った兵士が大量にいて、医師不足や看護師不足が深刻化していていたから手軽に治療できるなら多少の危険は目をつむろうっていう風潮だったみたいだね。
今では考えられないわね……。
一方でアイスピック式ロボトミーを確立させたフリーマンは自家用車を使ってアメリカ中の精神病院の訪問を開始。
そして行く先々でアイスピック式ロボトミーを披露して自分の力でアイスピック式ロボトミーを普及させていったんだ。
そして行く先々でアイスピック式ロボトミーを披露して自分の力でアイスピック式ロボトミーを普及させていったんだ。
そしてフリーマンが40年の歳月をかけて行った手術件数はなんと3,439件。
かなり多いわね……。
ただ多いのは手術件数だけじゃない……。
失敗例もかなりあって3,439件の内、約500件近くは失敗し死亡させているんだ……。
失敗例もかなりあって3,439件の内、約500件近くは失敗し死亡させているんだ……。
げっ……。
ロボトミーの失敗により人格が崩壊したり死亡した人たち
ロボトミーが現代において悪魔の手術と言われているのは重篤な副作用。
ロボトミーの一番の重篤な副作用は死亡なんだけど、それ以外にも
・感情が失われる。
・言葉が話せなくなる。
・ご飯を食べたりトイレに行くという日常動作ができなくなる。
・新しい事が覚えられなくなる。
・さらに情緒不安定になる。
などかなり危険な副作用も起こっていたんだ。
・感情が失われる。
・言葉が話せなくなる。
・ご飯を食べたりトイレに行くという日常動作ができなくなる。
・新しい事が覚えられなくなる。
・さらに情緒不安定になる。
などかなり危険な副作用も起こっていたんだ。
そりゃ脳にアイスピックをぶっ刺してグリグリしたらそうなるわよ。
あ、自分で言ってて気持ち悪くなってきた……。
そんな副作用が起こった手術例の中でも一番有名なのが35代目アメリカ大統領ジョン・F・ケネディの妹である「ローズ・マリー・ケネディ」のケース。
え、大統領の妹がロボトミーを受けてんの!?
なんで!?
なんで!?
ケネディ家はエリートで有名な家系だったんだけど、ローズマリーは至って平凡な子だったんだ。
ただ、エリートの兄妹に囲まれていた上に過大な期待を背負わされたせいか気難しい性格に育ち、たびたびヒステリーを起こしていたんだよ。
ただ、エリートの兄妹に囲まれていた上に過大な期待を背負わされたせいか気難しい性格に育ち、たびたびヒステリーを起こしていたんだよ。
エリート特有の悩みって奴かしら……。
そしてローズマリーはケネディ家内で問題児として見られるようになっていくんだけど、そんなローズマリーを父親のジョセフは政治活動に悪影響を及ぼすと考えた結果……。
ロボトミーを受けさせたと……?
その通り。ただ、ロボトミーの手術は大失敗。
ヒステリーが治るどころか幼児退行を起こして話す内容が支離滅裂になってしまった上に尿失禁や数時間にわたり一点を見つめて動かないなど重度な知的障害を負ってしまうんだ。
ヒステリーが治るどころか幼児退行を起こして話す内容が支離滅裂になってしまった上に尿失禁や数時間にわたり一点を見つめて動かないなど重度な知的障害を負ってしまうんだ。
ええぇぇ……。
さらにローズマリーは手術後に障がい者施設に入れられ、まるでケネディ家には元からローズマリーという人物はいかったかのような扱いを受ける事となってしまうんだ……。
無理やり手術を受けさせておいて失敗したら隔離するってとんでもないわね。
ただジョン・F・ケネディが大統領に時にローズマリーの存在が明るみに出て、ケネディ大統領は大きな批判を受けた結果、精神病患者に対する福祉政策が採用されアメリカの福祉は前進する結果になるんだけどね。
うーん……。
福祉が充実するのはいいけど、素直に喜べないわね……。
福祉が充実するのはいいけど、素直に喜べないわね……。
まぁケネディ大統領が暗殺されたせいで再び後退もするんだけどね。
結局ダメじゃん!
さらにフリーマンがアメリカ中にロボトミーを広めたせいで、精神疾患だけじゃなく狂暴な犯罪者や同性愛者までロボトミーが行われるようになってしまうんだ。
そしてロボトミーが行われなくなったのは1967年。
フリーマンがロボトミーを施した患者が再び死亡し、唯一ロボトミーの手術を許可していた病院が許可を取り消した事で今回のロボトミー騒動は終焉を迎えるんだ。
フリーマンがロボトミーを施した患者が再び死亡し、唯一ロボトミーの手術を許可していた病院が許可を取り消した事で今回のロボトミー騒動は終焉を迎えるんだ。
結局フリーマンはマッドサイエンティストだったって事……?
んーどうだろう。
ただフリーマンは1968年には自分の家や財産を全て売り払い、お金に変えて元患者を訪ねる旅をしていたらしい。
その後600人の身元を突き止めたうち230人以上が退院していた事を知って、その論文を発表していたりもするみたい。
ただフリーマンは1968年には自分の家や財産を全て売り払い、お金に変えて元患者を訪ねる旅をしていたらしい。
その後600人の身元を突き止めたうち230人以上が退院していた事を知って、その論文を発表していたりもするみたい。
色々問題はあったけれど、フリーマンも精神病と戦った一人の医者である事には違いないんじゃないかな。
うーん……。
まとめ
以上が悪魔の手術として知られるウォルター・フリーマンが行った「ロボトミー」についてでした。
どうだった?
どうだった?
とにかく気持ち悪かった……。
もうちょっとマシな感想は無いもんかね。
というか、脳の仕組みが理解されていないのに「脳の一部を切断すれば症状が良くなる」っていう発想はどこから来るのが不思議で仕方なかったわ。
今は薬が開発されているけれど、当時は精神病の薬なんかなかったから、とにかく精神疾患の治療法の登場が渇望されていたんだろうね。
あー……。気持ち悪い……。
なんか鼻水をかんだら脳みそが出てくるような気がしてきた……。
なんか鼻水をかんだら脳みそが出てくるような気がしてきた……。
そういう事は思っていても言うのをやめてくれる!?
ボクまで気持ち悪くなるから!!
ボクまで気持ち悪くなるから!!
それも読者のモンプチさんのリクエストにお応えしてウォルター・フリーマン医師が行った「ロボトミー」について紹介していきたいとおもいまっす!