法律の隙間に落ちるって何?
ほら、法律ってしっかり整備されているようで意外な所で意味不明だったり抜け穴があったりするでしょ?
たとえば?
そうだなぁ。
たとえば包丁をリビングとか寝室で持っていたら銃刀法違反になるとか?
たとえば包丁をリビングとか寝室で持っていたら銃刀法違反になるとか?
は!?
銃刀法では正当な理由がない場合、6センチ以上の刃物の携帯は禁止されてるんだけど、別に家の中はオッケーとかそういった決まりは無いんだよ。
つまり料理をするとか正当な理由がないのに寝室やリビングで包丁を持っていると銃刀法違反になるってわけ。
つまり料理をするとか正当な理由がないのに寝室やリビングで包丁を持っていると銃刀法違反になるってわけ。
マジで……。
まぁこれはあくまで暴論かつ極端な例で逮捕なんてあり得ないけどね。
ボクが何が言いたいかって言うと法律は絶対だけど完璧じゃないって事だよ。
ボクが何が言いたいかって言うと法律は絶対だけど完璧じゃないって事だよ。
今回は一体何の話なの……?
実はそんな穴だらけの法律に引っかかってしまった結果、19年間も空港から出れなくなってしまった人がいるんだ。
え、空港で19年間!?
気になってきたところでさっそく紹介していきまっす!
法律の隙間に落ちた「マーハン・カリミ・ナセーリー」
今回紹介するのは冒頭でも少し触れたけど法律が上手く働かず空港から出られなくなった「マーハン・カリミ・ナセーリー」について。
そしてナセーリーが空港で過ごした年月はなんと19年間!
そしてナセーリーが空港で過ごした年月はなんと19年間!
19年ってかなりの年月よ……?
なんで空港から出られないの……?
なんで空港から出られないの……?
ナセーリーはもともとはイラン人なんだけど、イランから国外追放されちゃってベルギーで難民認定を受けた人物なんだ。
え、犯罪者……?
まぁそのエピソードについては後で紹介するよ。
そしてある日、ベルギーからイギリスに合法的に移動していたんだけどけど、移動の途中で難民認定書と入国許可証を失ってしまい、身分証明ができなくなってしまうんだ。
え、やばくね?
かなりヤバイ。
到着したイギリスでは身分証明書がないから入国を拒否されるし強制送還されたベルギーでも身分証明書がないから入国を拒否。
その結果、どこの国にも入国できなくなってしまうんだよ
到着したイギリスでは身分証明書がないから入国を拒否されるし強制送還されたベルギーでも身分証明書がないから入国を拒否。
その結果、どこの国にも入国できなくなってしまうんだよ
マーハン・カリミ・ナセーリーの空港生活の始まり
ナセーリーは1974年にイランの反政府運動に参加していた人物なんだけど、翌年の1975年にはイランの秘密警察に逮捕されて国外追放されてしまうんだ。
ああ、国外追放ってそういう理由だったのね。
追放されてしまったナセーリーは西ドイツ、フランス、イギリスなど様々な国に難民申請を行ったんだけどすべて拒否されてしまう。
その中で唯一にベルギーだけがナセーリーを難民として認め1980年にベルギーに移り住むことになるんだ。
その中で唯一にベルギーだけがナセーリーを難民として認め1980年にベルギーに移り住むことになるんだ。
ふんふん
そしてナセーリーはベルギーに入国し、6年間の間ベルギーで生活をしていたけど、ある日ナセーリーはイギリスへ移住することを考え難民認定証とイギリスの入国許可証を入手。
そしてイギリスに行くために、乗り継ぎ目的でフランスに入国して「シャルル・ド・ゴール空港」に向かったんだ。
そしてイギリスに行くために、乗り継ぎ目的でフランスに入国して「シャルル・ド・ゴール空港」に向かったんだ。
しかし、なんとナセーリーはベルギーから出国した後、フェリーに乗っている途中で「ベルギーを出国したから難民認定書とイギリス領事館が発行した入国許可証はもういらない」と思って国連高等難民弁務官事務所宛に投函してしまうんだ。
は!?
なんでそうなる!?
なんでそうなる!?
なんでだろうね……。
その後、フランスのシャルル・ド・ゴール空港からイギリスのヒースロー空港に向かったんだけど、到着したイギリスでは難民認定書は入国許可証といった身分証明書がないため入国を拒否。
その後、フランスのシャルル・ド・ゴール空港からイギリスのヒースロー空港に向かったんだけど、到着したイギリスでは難民認定書は入国許可証といった身分証明書がないため入国を拒否。
当然よね……。
その結果、ナセーリーはベルギーに強制送還されてしまうんだ。
ふりだしに戻っちゃったわね。
いや、ふりだしにも戻れない。
実は送り返されたベルギーでも身分証明書が無いため入国を拒否されて今度はイギリスに送還されてしまうんだよ。
実は送り返されたベルギーでも身分証明書が無いため入国を拒否されて今度はイギリスに送還されてしまうんだよ。
あ、詰んだっぽい……。
その後、ナセーリーはベルギーとイギリスを何度も行ったり来たりする羽目になるんだけど、その事を見るに見かねたイギリスの職員が
「乗り継ぎで利用したフランスなら入国できるかもしれない」
とナセーリーをシャルル・ド・ゴール空港行きの旅客機に乗せたんだ。
「乗り継ぎで利用したフランスなら入国できるかもしれない」
とナセーリーをシャルル・ド・ゴール空港行きの旅客機に乗せたんだ。
へー。いい人もいるもんね。
いや、その親切が18年にも及ぶ空港生活の始まりになるんだよ……。
フランスの空港で身動きが取れなくなってしまったマーハン・カリミ・ナセーリー
イギリスからシャルル・ド・ゴール空港に到着したナセーリーは無事、フランスに入国することはできたんだけど、それはあくまでシャルル・ド・ゴール空港の制限区域内のみ。
身分証明書がないナセーリーはフランスでも制限区域外に出ることは許可されなかったんだ。
身分証明書がないナセーリーはフランスでも制限区域外に出ることは許可されなかったんだ。
あらら。
そしてフランスも身分証明書がないナセーリーを強制送還しようとしたんだけど、ナセーリーの状況をしった弁護士はフランスの裁判所に働きかけて
「合法的に入国した以上、ナセーリーを強制追放はできない」
という判例を下したんだ。
「合法的に入国した以上、ナセーリーを強制追放はできない」
という判例を下したんだ。
ほう。
となるとフランスで暮らせるって事?
となるとフランスで暮らせるって事?
いや、実はそうでもない。
「強制追放は行わない」というのと「難民として認める」のは別の話でナセーリーは難民として認められなかったんだ……。
「強制追放は行わない」というのと「難民として認める」のは別の話でナセーリーは難民として認められなかったんだ……。
……つまり?
つまり
「フランスからは追い出しません。しかしフランスには入国させません」
状態ってことだね。
「フランスからは追い出しません。しかしフランスには入国させません」
状態ってことだね。
なにそれ……。
その結果、ナセーリーが合法的に存在できる場所はさっきも言ったけどシャルル・ド・ゴール空港の制限区域内のみになってしまったんだ。
法律ってすごいわね……。
ちなみにナセーリーの事を知った弁護士の一人がベルギーに対してベルギーが発行していた難民認定書の再発行を求めたりもしたんだけどベルギーは再発行を拒否して結果的には解決できなかったっていう事もあったんだ
え、なんでベルギーは拒否したのよ……。
実はベルギーでは難民認定書や身分証明書の再発行をするには本人の確認が必要で、本人がベルギーに出頭する必要があるんだよ。
え、でもナセーリーはフランスから動けないんでしょ?
そう。
しかもベルギーは「自分からベルギーを離れた難民は再び入国を許可しない」っていう法律があって、ナセーリーが最初にベルギーを離れた時点で入国拒否者として登録されてしまっていたんだ。
しかもベルギーは「自分からベルギーを離れた難民は再び入国を許可しない」っていう法律があって、ナセーリーが最初にベルギーを離れた時点で入国拒否者として登録されてしまっていたんだ。
え……?
つまりベルギーでは
「身分証明書を再発行してほしかったらベルギーに入国して役所に出頭しろ。でもベルギーは入国は拒否する」
っていう状態。
「身分証明書を再発行してほしかったらベルギーに入国して役所に出頭しろ。でもベルギーは入国は拒否する」
っていう状態。
無理じゃん!
無理だねぇ……。
まぁ3年後ぐらいにはベルギーが譲歩案として
「ソーシャルワーカーの監視下で生活するなら難民認定書を再発行する」
っていう案をだしてきたそうだけどね。
まぁ3年後ぐらいにはベルギーが譲歩案として
「ソーシャルワーカーの監視下で生活するなら難民認定書を再発行する」
っていう案をだしてきたそうだけどね。
お、解決?
いや、実はこの案はナセーリーが拒否。
ナセーリーは「イギリスに移住を希望しておりベルギーには戻らない」の一点張りだったそうだよ。
ナセーリーは「イギリスに移住を希望しておりベルギーには戻らない」の一点張りだったそうだよ。
何よ、そのこだわり……。
それともベルギーで何かあったのかしら……。
それともベルギーで何かあったのかしら……。
その後、1999年にようやくフランスがナセーリーを難民と認めて難民用のパスポートを発行。
この時点で10年以上が経過していてようやく問題が解決するように見えたけど……。
この時点で10年以上が経過していてようやく問題が解決するように見えたけど……。
けど……?
ナセーリーはフランスが用意したパスポートの個人情報欄が間違っている事に激怒。
自らパスポートの受け取りを拒否するんだ……。
自らパスポートの受け取りを拒否するんだ……。
なんでよ!
それぐらい大目に見なさいよ!
それぐらい大目に見なさいよ!
まぁこの時点でナセーリーは精神病患者みたいになっていたそうだけどね。
あー……。
え、結局最後はどうなっちゃうの?
ナセーリーがシャルル・ド・ゴール空港を去ったのは2007年1月。
2006年の夏に体調を崩して空港内の病院に入院する羽目になるんだけど、その現状を知ったフランスの赤十字がパリにあるホームレス用施設に移送したんだ。
2006年の夏に体調を崩して空港内の病院に入院する羽目になるんだけど、その現状を知ったフランスの赤十字がパリにあるホームレス用施設に移送したんだ。
その結果、ナセーリーの長い長い空港での生活は終わりを迎えたって訳。
まとめ
以上が19年間空港から出られなくなった「マーハン・カリミ・ナセーリー」
どうだった?
どうだった?
なんか途中に色々あってちょっと時系列が分からなくなっちゃったわね……。
簡単にまとめるとこんな感じかな。
①1975年:反政府運動でイランを国外追放
②1980年:ベルギーで難民認定、ベルギーに入国
③1986年:イギリスへ向け出発するも身分証明書を紛失
④1988年:フランスへ入国し空港生活開始
⑤1995年:ベルギーが条件付きで難民認定するもナセーリーが拒否
⑥1999年:フランスが難民認定するも個人情報の記入不備で本人が拒否
⑦2006年:体調不良で一時的に病院へ入院
⑧2007年:ホームレス用施設へ移送
②1980年:ベルギーで難民認定、ベルギーに入国
③1986年:イギリスへ向け出発するも身分証明書を紛失
④1988年:フランスへ入国し空港生活開始
⑤1995年:ベルギーが条件付きで難民認定するもナセーリーが拒否
⑥1999年:フランスが難民認定するも個人情報の記入不備で本人が拒否
⑦2006年:体調不良で一時的に病院へ入院
⑧2007年:ホームレス用施設へ移送
結構、自業自得な所があるわね……。
まぁ言われてみればそうだね……
でも、ナセーリーのはどうやって19年間もの間、空港で暮らしていたの?
お金とかご飯とかはどうしてたの?
お金とかご飯とかはどうしてたの?
空港内でアルバイトをしてお金を稼いでたらしいよ。
ちなみに自分で稼いだお金でイギリスのロンドンまでのチケットを買ってイギリスに向かったこともあるらしい。
当然、イギリスで入国拒否されてフランスに逆戻りになったみたいだけど。
ちなみに自分で稼いだお金でイギリスのロンドンまでのチケットを買ってイギリスに向かったこともあるらしい。
当然、イギリスで入国拒否されてフランスに逆戻りになったみたいだけど。
お金の無駄遣いね……。
そういえば法律の矛盾で思い出したんだけど、この間ノートパソコンが壊れたから修理に持ち込んだらネットで申し込めって言われたわ。
そのパソコンが壊れたっていうのにどうしろっていうのよ。
そのパソコンが壊れたっていうのにどうしろっていうのよ。
あー。今回のケースと若干にてるね。
で、どうしたの?
で、どうしたの?
修理に出せないから押入れの中。
スマホを使って申し込めよ!
あ、そうそう。
あと、今回の話については映画化もされてるので興味があったら見てみてね!
あと、今回の話については映画化もされてるので興味があったら見てみてね!
それも法律の隙間に落ちてしまった「マーハン・カリミ・ナセーリー」という人物について紹介したいと思いまっす!