

奇跡?
奇跡ってことはグッドエンド系の話なのかしら。
奇跡ってことはグッドエンド系の話なのかしら。


ふーん。
で、それはどんな感じの話なの?
で、それはどんな感じの話なの?

まぁ簡単に言うと“5回連続で船が難破するんだけど、最終的にはグッドエンド”みたいな?

5回連続で難破って……。
奇跡というより呪われている感じがするんだけど……。
奇跡というより呪われている感じがするんだけど……。

ちなみに最終的なグッドエンドってのは?

それは最後のお楽しみ。
それじゃ早速紹介していきまっす!
それじゃ早速紹介していきまっす!
ラッフルズ港に向けて出港した帆船「マーメイド号」

それじゃ改めて、今回紹介するのは「マーメイド号の奇跡」
これは1829年にイギリスで起きた奇跡のような出来事でっす。
これは1829年にイギリスで起きた奇跡のような出来事でっす。
1度目の奇跡

事の発端は1829年の10月16日
帆船のマーメイド号はオーストラリアのシドニー港からイギリスのラッフルズ港に向けて出港したんだ。
帆船のマーメイド号はオーストラリアのシドニー港からイギリスのラッフルズ港に向けて出港したんだ。

ふんふん。

そしてマーメイド号はオーストラリアとパプアニューギニアの間を通ってイギリスに向かう予定だったんだけど、出航してから4日後に大事故に巻き込まれてしまいます。

オーストラリアとパプアニューギニアの間にはトレス海峡という海峡があるんだけど、トレス海峡を横断中に大波がマーメイド号を襲い、その波に船が流されて座礁して大破してしまうんだ。

ありゃりゃ。

ちなみに、このマーメイド号には19人の乗組員がいたんだけど、不幸中の幸いか、乗組員たちは大怪我すること無く近くの岩場まで待避することができたんだ。

でも海のど真ん中なんでしょ?

そう。
船員達は岩場しかないようなところで身動きが取れない状態になってしまい、絶望モードだったんだけど、3日後に偶然通りかかったスィフトシュア号という小型帆船に発見してもらい救助してもらえたんだよ。
船員達は岩場しかないようなところで身動きが取れない状態になってしまい、絶望モードだったんだけど、3日後に偶然通りかかったスィフトシュア号という小型帆船に発見してもらい救助してもらえたんだよ。

おお、よかったじゃん。
2度目の奇跡

3日間の遭難生活から生き延びて、スィフトシュア号に助けられた船員達。
みんなは一時はどうなる事かと思ったけれど、これで無事に生きて帰れると安心しきっていた矢先、救助された翌日の24日に今度はスィフトシュア号が海流に流されて座礁してしまうんだよ。
みんなは一時はどうなる事かと思ったけれど、これで無事に生きて帰れると安心しきっていた矢先、救助された翌日の24日に今度はスィフトシュア号が海流に流されて座礁してしまうんだよ。

え……。

ただ、今回も乗組員たちは怪我をすることは無く、ちょうど近くに小島があったから、船員達はひとまず船を捨てて泳いで小島まで向かったんだ。

ふんふん。

とはいっても無人島だったから脱出する術がなく、どうしようかと途方に暮れていたところ、二度目の奇跡が起きます!

船が近くを通ったとか?

そのとおり。
スィフトシュア号が座礁した約3時間後にガバナー・レディ号という商船が偶然通りかかって救助してもらえたんだ。
スィフトシュア号が座礁した約3時間後にガバナー・レディ号という商船が偶然通りかかって救助してもらえたんだ。

ちなみに、この時点でマーメイド号とスィフトシュア号の乗組員は32人。
そしてガバナー・レディ号に乗っていたのが32人で、合計64人もの人数になり、かなり定員オーバーになってしまうんだけど、背に腹は代えられないという事で、そのまま港に向けて出発したんだ。
そしてガバナー・レディ号に乗っていたのが32人で、合計64人もの人数になり、かなり定員オーバーになってしまうんだけど、背に腹は代えられないという事で、そのまま港に向けて出発したんだ。

で、また何かが起こる訳ね……?

そう……。
今度は火災が発生するんだ……。
今度は火災が発生するんだ……。

絶対、誰か呪われてるでしょ……。

もともとガバナー・レディ号は運搬船で、商品の材木を大量に積んでいたんだけど、その材木に飛び火して海のど真ん中で大火災が発生してしまうんだよ……。

しかし、ここで3度目の奇跡が起きます!
3度目の奇跡

ガバナー・レディ号に乗っていた乗組員たちは何とか救命ボートに乗り込んで脱出したんだけど、火災が起こった場所はほぼ大西洋のど真ん中。
こんどは避難するような小島も無く、ただただ救命ボートにのって海を漂う事しかできなくて再び絶望のムードが漂っていたんだ。
こんどは避難するような小島も無く、ただただ救命ボートにのって海を漂う事しかできなくて再び絶望のムードが漂っていたんだ。

まぁそりゃそうよね。

しかし、今度はガバナー・レディ号の火災現場近くをオーストライリア海運局に所属するコメット号が通りかかり、なんと今回も64人全員が無事救出されたんだ。

まじか。
こんな偶然ってあり得るの?
こんな偶然ってあり得るの?

まぁそうそう無いだろうね。
ただ、人生山あれば谷あり。再び不幸が船員達を襲います。
ただ、人生山あれば谷あり。再び不幸が船員達を襲います。

また座礁するとか言うんじゃないでしょうね……。

いや、今度は転覆……。
コメット号は嵐に巻き込まれてしまい転覆してしまうんだよ……
コメット号は嵐に巻き込まれてしまい転覆してしまうんだよ……

またぁ……?
しかも転覆って割とスケールが大きいわね。
しかも転覆って割とスケールが大きいわね。

そうだね。
実際今度は救命ボードを出す余裕もなかったみたいだよ。
実際今度は救命ボードを出す余裕もなかったみたいだよ。

え、じゃぁどうするのよ。

どうしようもできない。
海に放り出された船員たちはコメット号の残骸や破片に捕まって、プカプカ浮かぶぐらいしかできなかったんだよ。
海に放り出された船員たちはコメット号の残骸や破片に捕まって、プカプカ浮かぶぐらいしかできなかったんだよ。

で、ここでまた再び奇跡が起こると。

ボクのセリフ取らないでもらえるかな……。
4回目の奇跡

確かにマキエが言うように、ここで4度目の奇跡がおきます。

コメット号が転覆して約18時間後。
海の上を漂っていた乗組員たちの近くに、偶然たまたま郵便船であるジュピター号が通りかかって、今回もまた誰一人怪我すらすることなく全員救出されたんだよ。
海の上を漂っていた乗組員たちの近くに、偶然たまたま郵便船であるジュピター号が通りかかって、今回もまた誰一人怪我すらすることなく全員救出されたんだよ。

今、何回目の難破?

ん?4回目だけど?

という事は、あと1回似たような事があるのか……。
次は何?難破?転覆?
次は何?難破?転覆?

いや、そんな安っぽく言われても……。

さすがにここまで奇跡が立て続けに起こったら安っぽくもなるわよ……。
で、今度は何な訳……?
で、今度は何な訳……?

今度は座礁だよ。
ジュピター号は暗礁に激突してしまい、船の底に大穴があいてしまうんだよ。
ジュピター号は暗礁に激突してしまい、船の底に大穴があいてしまうんだよ。

ところがどっこい、再び奇跡が起こります!
5回目の奇跡

ジュピター号には今までの船の船員達を合わせて総勢128名が乗っていてたんだけど、大穴があいて沈没寸前になってしまう。
そんな時、今度はイギリスの旅客船のシティ・オブ・リーズ号が近くを通りかかって128名全員が救助されたんだ。
そんな時、今度はイギリスの旅客船のシティ・オブ・リーズ号が近くを通りかかって128名全員が救助されたんだ。

128名も難破しているのを見つけたシティ・オブ・リーズ号はかなりびっくりしたでしょうね……。

一体、何の集まりだってなりそうだよね。

で、これで五回目ってことは、このまま無事に港に帰ることができたって事ね?

そのとおり。
ただ、シティ・オブ・リーズ号内でもう一つのとんでもない奇跡が起きるんだ。
ただ、シティ・オブ・リーズ号内でもう一つのとんでもない奇跡が起きるんだ。
5回の難破を経験した先で、まさかの母親との再会。

128人を救助したシティ・オブ・リーズ号は近くの港に向かって出発したんだけれど、その途中にシティ・オブ・リーズ号の船医が乗客の中からヨークシャーに馴染みがあるイギリス人を探していたんだ。

なんで?

実はもともとシティ・オブ・リーズ号に乗客として乗っていたお婆さんが大病にかかってしまうんだ。

ただ、船の上で行える処置は限られていて手の打ちようが無くて途方に暮れていたところ、おばあさんがうわ言のように息子の名前を呼び始めたから、船医はお婆さんを元気づけるために、息子の代役をたてて元気づけようとしたんだ。

そんなのスグにバレるじゃん……。
意味あんの……?
意味あんの……?

人間、最後はやっぱり気力だからね。
気合で持ち直したなんて話はよくあるよ。
気合で持ち直したなんて話はよくあるよ。

ふーん。

ちなみに条件というのが「イギリス人」、「32歳前後」、「ヨークシャーに馴染みがある」の3点だったんだけど、マーメイド号の船員の一人が、ちょうどその条件に当てはまる人がいたんだ。

ふんふん。

その男性の名前は「ピーター・リチャードソン」と言うんだけど、少しでもおばあさんの役に立てるならと、名乗り出たんだ。

そして、おばあさんに偽物とバレないように船医と事前に打ち合わせを始めたんだ。

船医「おばあさんはヨークシャーのホイットピーの出身で、その息子もそこで生まれたらしい」
ピーター「そうですか。実は私もホイットピー出身なんです。」
船医「それはちょうどいい。ちなみに齢は32歳だそうだ。」
ピーター「私も32歳です。ところで、その息子さんの名前は何て言うんですか?」
船医「おっと、そうだった。息子さんの名前は“ピーター・リチャードソン”と言うそうだ」
ピーター「そうですか。実は私もホイットピー出身なんです。」
船医「それはちょうどいい。ちなみに齢は32歳だそうだ。」
ピーター「私も32歳です。ところで、その息子さんの名前は何て言うんですか?」
船医「おっと、そうだった。息子さんの名前は“ピーター・リチャードソン”と言うそうだ」

え……。

そう。
実は5回も難破を経験したマーメイド号の船員が、本物の息子だったんだよ。
実は5回も難破を経験したマーメイド号の船員が、本物の息子だったんだよ。

マジで!?
そんな偶然ってあんの!?
そんな偶然ってあんの!?

あ、作り話とかじゃないでしょうね……。

まぁ疑いたくなるのも仕方ないけれど、実際に海難事故記録に残っている話で本当に起きた話らしいよ。

らしい……?

ボク自身が確認したわけじゃないからね。

ふーん。
でも、今回の話はちょっと普通じゃありえないような話だったわね。
でも、今回の話はちょっと普通じゃありえないような話だったわね。

だから奇跡なんじゃないか。
まとめ

以上がマーメイド号の奇跡についてでした。
どうだった?
どうだった?

信じられ無いの一言ね……。
こんな偶然ってあるのね……。
こんな偶然ってあるのね……。

偶然じゃなくて奇跡だってば……。

あと当時、この話はかなり有名になるんだけど
「神様が親子を巡り合わせるために今回の出来事を仕組んだ。」
なんていう話も出たぐらいだしね。
「神様が親子を巡り合わせるために今回の出来事を仕組んだ。」
なんていう話も出たぐらいだしね。

そうだとしたら、他の人127人はすごい迷惑よね……。

……。

そういえばそうだね……。
それもイギリスで起きた「マーメイド号の奇跡」という話について紹介していきまっす!