何、そのディストピア系のSF映画に登場しそうな機械は……。
あー。そういえばSF映画とかでは“脳にICチップを埋め込まれて操作される”っていう話が割と多いよね。
まぁ今回の話は映画や作り話ではなく、実際に脳にICチップを埋め込んだっていう話なんだけどね……。
どうせ“死者が続出した”ってオチじゃないの……?
いや、ある意味死者が続出するより怖い結果になったのかも……?
というと?
脳にICチップを埋め込む事で本当に体や感情を操ることが出来てしまったんだよ……。
マジで!?
それじゃ早速紹介していきまっす!
「スティモシーバー」の生みの親「ホセ・デルガード」
それじゃ改めて今回紹介するのは「スティモシーバー」!
このスティモシーバーはイェール大学に所属する「ホセ・デルガード」によって開発された装置です。
このスティモシーバーはイェール大学に所属する「ホセ・デルガード」によって開発された装置です。
ちなみにデルガードはスペイン人で本名は「ホセ・マヌエル・ロドリゲス・デルガード」というんだけど、イェール大学で研究を行う生理学者の教授 兼 神経科学者の一人だったんだ。
スペイン人って何でこんな名前が長いんでしょうね……。
そこまではちょっとわかんないかな……。
で、デルガードは1950年代の初頭に脳に埋め込むチップを開発。
このチップこそが「スティモシーバー」と呼ばれるICチップなんだけど、全長は5センチぐらいの大きさの無線機でラジオ波を受信して微弱な電流を流すというという代物だったんだ。
このチップこそが「スティモシーバー」と呼ばれるICチップなんだけど、全長は5センチぐらいの大きさの無線機でラジオ波を受信して微弱な電流を流すというという代物だったんだ。
ふんふん。
そしてデルガードは、このスティモシーバーを脳に組み込む事で、対象を自由に操ることができると考えて数々の動物実験を開始するんだ……。
実際に行われた動物実験の数々
デルガードが動物実験を行い始めたのは1960年代の初頭。
自分が開発したスティモシーバーを猫や犬や猿の脳に埋め込んで次々と動物実験を行っていったんだ。
自分が開発したスティモシーバーを猫や犬や猿の脳に埋め込んで次々と動物実験を行っていったんだ。
その中でも特に有名なのが猿と闘牛の実験記録。
猿はなんとなく分かるけど、闘牛って何……。
それも順番に紹介していくよ。
まずは猿の実験記録からなんだけど、デルガードは猿の頭頂部に穴を開けスティモシーバーを装着。
そしてラジオ波を発するコントローラーを使うと、猿の手や足を自由に動かせることができたんだ。
そしてラジオ波を発するコントローラーを使うと、猿の手や足を自由に動かせることができたんだ。
凄いというより怖いわね……。
だね……。
ちなみにスティモシーバーを埋め込まれた猿は特に障害も出ず、数年間健康的に暮らしていたそうだよ。
頭にICチップを埋め込まれたままで……?
うん……。
そしてもう一つがマキエが気になっていた闘牛の実験記録。
デルガードは猿の時と同じ様に闘牛の脳にスティモシーバーを装着したんだ。
デルガードは猿の時と同じ様に闘牛の脳にスティモシーバーを装着したんだ。
ふんふん。
ただ、凄いのはこれからで、なんとデルガードは闘牛と一緒に闘牛場に入りワザと闘牛が自分に突進してくるように仕向けたんだ。
え……?
挑発をうけた闘牛は当然デルガードに向かって突進していくわけだけど、一方でデルガードは手に持っていたリモコンを使って自分に向かって突進する闘牛を停止させて見せたんだよ。
えぇ……。
そんな事って可能なの……?
そんな事って可能なの……?
まぁ実際にできちゃってるから可能なんだろうね……。
人間の脳にもICチップを埋め込んだデルガード
猿や闘牛の実験結果によりデルガードはかなり有名なり、そして当時にスティモシーバーの有効性についても徐々に認められ始め、1,970年頃に遂にデルガードは人体実験を開始するんだ。
でた……。
人体実験……。
人体実験……。
ちなみにデルガードにスティモシーバーを埋め込まれたのは判っているだけでも25人。
とはいっても、デルガードは嫌がる人物に無理やり埋め込んだわけじゃなく、ちゃんと患者との同意の上で行われたんだけどね。
とはいっても、デルガードは嫌がる人物に無理やり埋め込んだわけじゃなく、ちゃんと患者との同意の上で行われたんだけどね。
え……。こんな人体実験に同意する人なんているの……?
脳性麻痺やパーキンソン病といった脳神経に関する病気の人達が治験みたいな感じで同意したみたい。
あー。なるほど。
でも今では本人が同意しても絶対許可が下りなさそうな内容よね……。
昔と今じゃ倫理観が大分ちがうからね。
で、結果は?
結果は猿や闘牛の時と同じ様に、人間であっても四肢を動かしたり拳を握らせるという事ができたんだって……。
マジで……。
しかも、スティモシーバーから発せられる命令は本人の意志より強かったみたいでリモコンから発せられる命令を無視する事はできなかったそうだよ……。
完璧に操れちゃってるじゃん……。
とはいっても腕を動かしたり拳を作ったりするぐらいで緻密な動きや複雑な動きは命令する事は出来なかったみたいだけどね。
いや、腕を動かせるだけで十分でしょ……。
そして前回の闘牛の実験と今回の人体実験でデルガードは非常に有名な科学者として知られる事になるんだけど、逆に有名になりすぎたせいでホセは訴訟と迫害を受ける事になってしまうんだ……。
え……?
医学界から追放されたデルガード!スティモシーバーを埋め込まれたと訴える人達が押し掛ける!
人体実験を行ってから数年がたった1974年。
デルガードは見ず知らずの他人から民事訴訟を受ける事となるんだけど、なんとその件数は数百人以上。
デルガードは見ず知らずの他人から民事訴訟を受ける事となるんだけど、なんとその件数は数百人以上。
え、どういう事?
ホセが秘密裏に沢山の人達を手術していたって事?
ホセが秘密裏に沢山の人達を手術していたって事?
いや、デルガードを訴えた人達は全員が被害妄想に取りつかれていた人達で事実無根だったんだよ。
ん?
つまりデルガードの実験やスティモシーバーの事をニュースとかで知った人たちが
「私の脳にも埋め込まれているかも!というか埋め込まれた!」
って言ってきたって事?
つまりデルガードの実験やスティモシーバーの事をニュースとかで知った人たちが
「私の脳にも埋め込まれているかも!というか埋め込まれた!」
って言ってきたって事?
そういう事だね。
でもデルガードはそんな事していないんでしょ?
じゃぁ訴えられても無罪で問題ないんじゃないの?
じゃぁ訴えられても無罪で問題ないんじゃないの?
まぁ確かに被害妄想によって訴えられた件については問題なかったんだけど、「脳にICチップを埋め込んで操る」ということ自体が社会問題として大きく取り上げられて騒動になっちゃって、デルガードはアメリカの医学界から追放されてしまうんだ。
あら……。
その後は祖国のスペインに帰って同じような研究を続けるんだけど、スティモシーバーを取り扱う事はタブーという暗黙の了解が医学界に浸透しちゃったせいで、デルガードもスティモシーバーも次第に忘れられていったんだってさ。
まとめ
以上が脳にICチップを埋め込む人体実験「スティモシーバー」についてでした。
どうだった?
どうだった?
最初はマッドサイエンティストが自分の興味本位で人体実験を繰り返していたのかと思ったけれど、意外とちゃんとした科学者だったわね。
そうだね。
確かに非常に危険な人体実験ではあったけど、脳性麻痺やパーキンソン病が軽減したという記録もあるし、スティモシーバーによって死亡したり重大な障害が残った人もいないみたいだしね。
確かに非常に危険な人体実験ではあったけど、脳性麻痺やパーキンソン病が軽減したという記録もあるし、スティモシーバーによって死亡したり重大な障害が残った人もいないみたいだしね。
ふーん。人体実験にしては割とまともな機械だったのね。
被験者からしたら操られたり洗脳されるっていう恐怖があるかもしれないけど、ちゃんと研究が進んでいれば脳に関する病気の治療法として確立していたかもね。
被験者からしたら操られたり洗脳されるっていう恐怖があるかもしれないけど、ちゃんと研究が進んでいれば脳に関する病気の治療法として確立していたかもね。
確かに四肢を動かす事はできたみたいだけど、洗脳っていう事に関しては
「攻撃性の増減だけが可能であり、特定の行動を指示する事はできない」
って正式に否定してみたい。
「攻撃性の増減だけが可能であり、特定の行動を指示する事はできない」
って正式に否定してみたい。
え……、攻撃性を高める事はできちゃってるの……?
ギターを弾いていた人の側頭葉を刺激したら、いきなり怒ってギターを壁に叩きつけたっていう記録があるらしい……。
前言撤回。
やっぱりスティモシーバーは危険だわ……。
やっぱりスティモシーバーは危険だわ……。
それも脳にICチップを埋め込んで肉体や感情を操作するという「スティモシーバー」について紹介したいと思いまっす!