食人宿の主人……。
なんか3流ミステリー小説みたいな二つ名ね……。
なんか3流ミステリー小説みたいな二つ名ね……。
で、どんな話なの?
まさか“宿屋の主人が食人鬼で、泊りに来た客を次から次へと食べちゃった”とかそんな話じゃないわよね?
まさか“宿屋の主人が食人鬼で、泊りに来た客を次から次へと食べちゃった”とかそんな話じゃないわよね?
おー、するどいね。だいたいそんな感じの話だよ。
そんな感じの話なんだ……。
ただ今回の話は他の食人鬼とはちょっと違う点があるんだ。
違う点?
食人鬼ってたいてい食欲とか性欲を満たすために犯行に及ぶことが多いんだけど、今回のカール・デンケが食人を行った理由は「経済的だから」っていう理由だといわれているんだ。
食人が経済的……?
それじゃさっそく紹介していきまっす!
実業家で慈善家のカール・デンケと裏の顔
今回の話は1920年代の第一次世界大戦が終わったあたりに起きた事件の話で、事件の中心人物は冒頭でも紹介したとおり「カール・デンケ」。
デンケはミュンスターベルクと呼ばれる、今でいうポーランドでそこそこ大きな土地をもち、アパートを経営する大家さんなんだ。
デンケはミュンスターベルクと呼ばれる、今でいうポーランドでそこそこ大きな土地をもち、アパートを経営する大家さんなんだ。
ふんふん。
そんなデンケは町の人達からの人望も厚く、日曜日は教会でオルガンを弾いたり戦争によって住む場所を奪われたホームレスたちに自分が経営するアパートで無料で部屋を提供していたりと慈善事業にも励み「パパ・デンケ」と呼ばれるぐらい信頼されている人物だったんだ。
パパ?
この場合のパパは「神父さん」的な意味だね。
ああ、なるほど
ただ、そんな町の人から好かれるデンケにも裏の顔があったんだ……。
第一次世界大戦が生んだ食人鬼「カール・デンケ」
慈善家で有名だったデンケの裏の顔が暴露される事になったのは1924年の12月21日。
この日、デンケが経営するアパートでひとつの事件が発生するんだ。
この日、デンケが経営するアパートでひとつの事件が発生するんだ。
事件?
うん。この日、突然デンケの自室から男性の悲鳴が響き渡ったんだ……。
そして、その悲鳴を聞いて使用人や下宿屋に宿泊していた客たちがデンケの部屋に駆けつけると、そこには斧を振りかぶり宿泊客の男性の頭を叩き割ろうとしていたデンケの姿があったんだよ……。
そして、その悲鳴を聞いて使用人や下宿屋に宿泊していた客たちがデンケの部屋に駆けつけると、そこには斧を振りかぶり宿泊客の男性の頭を叩き割ろうとしていたデンケの姿があったんだよ……。
おおう……。
そして被害者である男性は「デンケに斧で襲われた」と証言して警察沙汰の事件になるんだけど、警察は「名士であるデンケがそんなことをするはずがない」と考えあまり相手にしなかったんだ。
え……。
ただ、被害者の男性があまりにも鬼気迫る表情で訴えかけるものだから、警察はひとまずデンケを犯人ではなく重要参考人として一時的に拘留して、一応デンケの部屋を調査することになったんだ。
ふんふん。
そして警察は事件現場であるデンケの自室から調査を行ったんだけど、なんとデンケの部屋から切り刻まれた人間の死体や骨、塩漬けにされて瓶詰になった胴体、そして今まさにクリームソースで煮込まれ調理されている人間の肉が発見されたんだ……。
うっ……。
慌てて警察はデンケを緊急逮捕。
そして本格的に調査が開始されたんだけど、その結果デンケは3年間にわたり30人以上を殺害した上に、殺害した人物の肉を精肉して売りさばいていた事が判明するんだ……。
そして本格的に調査が開始されたんだけど、その結果デンケは3年間にわたり30人以上を殺害した上に、殺害した人物の肉を精肉して売りさばいていた事が判明するんだ……。
カール・デンケの恐るべき所業と、デンケを食人に駆り立てた意外な理由
事件発生当時、警察がデンケの部屋を調査した際に人肉と一緒に12人分の浮浪者達の身分証明書や衣服が発見されたんだけど、その時に同時にデンケが作成した帳簿も発見されたんだ。
帳簿?
うん。
その帳簿というのはデンケが作成していた犠牲者達の帳簿でね、中には犠牲になった人たちの氏名や年齢、体重、殺害した日、肉として加工した日、そして肉の売価などが記載されていて、まるで精肉店がお肉を卸して販売するような仕入れ台帳のような帳簿だったんだ……。
その帳簿というのはデンケが作成していた犠牲者達の帳簿でね、中には犠牲になった人たちの氏名や年齢、体重、殺害した日、肉として加工した日、そして肉の売価などが記載されていて、まるで精肉店がお肉を卸して販売するような仕入れ台帳のような帳簿だったんだ……。
しかも帳簿に記載されている内容からデンケによる殺人は3年前の1921年から行われていて、最低でも30人はデンケによって殺害・解体されて販売されている事が判明したんだ……。
30人って多すぎるわよ……。
なんで誰も気づかなかったのかしら……。
なんで誰も気づかなかったのかしら……。
当時は敗戦直後で餓死者も出るぐらいだったから行方不明者も珍しくはなかったんだろうね。
でも、なんでデンケはそんなに必死になって人肉を販売していたの?
土地をもってるならそこそこ裕福だったんじゃないの?
土地をもってるならそこそこ裕福だったんじゃないの?
実はデンケは逮捕直後に自殺してしまって詳細は分からないんだけど、一節によると
「第一次世界大戦の敗戦により、自分の資産が失われるのを極端に恐れていた結果、精神が蝕まれ精神異常者のようになっていた」
ともいわれている。
「第一次世界大戦の敗戦により、自分の資産が失われるのを極端に恐れていた結果、精神が蝕まれ精神異常者のようになっていた」
ともいわれている。
というと?
たしかデンケはそこそこの財産を持っていたし、貧困で食べ物に困っているわけでもない。
かといって、贅沢ができる身分というわけでもなかったんだよ。
かといって、贅沢ができる身分というわけでもなかったんだよ。
さっきも言ったけど、当時のドイツは敗戦国で物の物価がどんどん上ってデンケの財産は減る一方だったんだ。
そこでデンケは自分の資産を減らさずに、むしろ増やす方法がないかを必死になって考えていたらしい。
そこでデンケは自分の資産を減らさずに、むしろ増やす方法がないかを必死になって考えていたらしい。
ふんふん。
そこでデンケは思いつくんだ。
「自分で肉を手に入れる事ができれば、わざわざ購入する必要はないし、むしろ安価で市場に供給できれば町も潤うし自分も儲かる」
ってね。
「自分で肉を手に入れる事ができれば、わざわざ購入する必要はないし、むしろ安価で市場に供給できれば町も潤うし自分も儲かる」
ってね。
あ、なんか嫌な予感……。
うん……。
ただ、問題は肉の仕入れ先なんだけど当時、敗戦国だったドイツは家畜は既に戦場で戦う兵士達の食料として送られていなくなっていたし、野生の動物たちも毛皮製品に加工されたり食糧として加工されるために狩りつくされていて簡単に動物を捕まえることが出来なかったんだ。
ただ、問題は肉の仕入れ先なんだけど当時、敗戦国だったドイツは家畜は既に戦場で戦う兵士達の食料として送られていなくなっていたし、野生の動物たちも毛皮製品に加工されたり食糧として加工されるために狩りつくされていて簡単に動物を捕まえることが出来なかったんだ。
一方で敗戦による不況で街中にはホームレスが溢れかえっていた。
そこでホームレスに目を付けたデンケは「ホームレスを殺害して精肉して売ろう」と思いついたって訳……。
そこでホームレスに目を付けたデンケは「ホームレスを殺害して精肉して売ろう」と思いついたって訳……。
いやいや……。目の付け所がおかしいでしょ……。
しかもデンケは「どうやったら肉が売れるか」っていう事にも真剣に考えていて、殺害した人物の年齢や性別ごとに調理方法や塩の量などを変えていて、デンケが経営するアパートでは頻繁に人肉がふるまわれていたんだけど、アンケートの提出が義務付けられていたって話もある……。
え……。ということはデンケのアパートに住んでいた人は知らない間に何度も人間を食べさせられていた上に人肉の感想まで書かされていたって事……?
まぁそういう事になるよね……。
何てこと……。
まとめ
以上が食人宿の主人「カール・デンケ」の事件についてでした。
どうだった?
どうだった?
どうもこうも……。
なんか悲惨な事件すぎて何ともいえないわ……。
なんか悲惨な事件すぎて何ともいえないわ……。
ある意味、デンケも戦争が生んだ被害者とも言えなくもないしね。
ちなみに以前に人間ホットドックを作っていた「ゲオルグ・カール・グロスマン」について紹介したけれど、今回のカール・デンケもドイツ3大食人鬼の一人だったりもする。
ドイツ3大食人鬼の一人ってことはもう一人いるって事よね……?
飛びっきりの人物が残ってたりもします……。
それも「食人宿の主人」と呼ばれた「カール・デンケ」についてご紹介したいと思いまっす!