

ん?“ななにんミサキ”?
それとも“しちにんミサキ”?
それとも“しちにんミサキ”?

読み方としては“しちにんミサキ”だね。
名前の通り七人組の亡霊の話で、地域によっては「七人同行(しちにんどうぎょう)」とか「七人童子(しちにんわらじ)」って言う場合もあるみたいだね。
名前の通り七人組の亡霊の話で、地域によっては「七人同行(しちにんどうぎょう)」とか「七人童子(しちにんわらじ)」って言う場合もあるみたいだね。

そういえば「七人の侍」って話もあったわね。

いや……あれは普通の時代劇映画だから……。
というか、よくまぁそんな懐かしい物を……。
というか、よくまぁそんな懐かしい物を……。

映画のタイトルしか知らないけどね……。

で、今回の七人ミサキってのはどんな話なの?

んー。すごくざっくり紹介すると
「自分が成仏するために次々に人を憑り殺す七人組の怨霊」
って感じかな。
「自分が成仏するために次々に人を憑り殺す七人組の怨霊」
って感じかな。

自分が成仏するため……?

それじゃさっそく紹介していきまっす!
見ただけで憑り殺される「七人ミサキ」!取り殺された後は自分が七人目に!?

それじゃ改めて今回紹介するのは「七人ミサキ」。
四国や中国地方で有名な七人組の怨霊についてでっす。
四国や中国地方で有名な七人組の怨霊についてでっす。

七人ミサキは海辺や川の周辺に現れる怨霊で、ただ出会ってしまうだけで憑りつかれてしまい、最終的には高熱にうなされながら命を落とすという恐ろしい怨霊なんだ。

出会っただけでアウトってキツいわね……。

そして七人ミサキはちょっと変わった性質をもった怨霊でね。
出会った人間に憑り付いて殺すという性質があるんだけど、生きた人間を憑り殺した怨霊は成仏できるんだって。
出会った人間に憑り付いて殺すという性質があるんだけど、生きた人間を憑り殺した怨霊は成仏できるんだって。

あ、そなの?
でも成仏したら七人じゃ無くなっちゃうじゃん。
でも成仏したら七人じゃ無くなっちゃうじゃん。

そう……。
だから今度は憑り殺された人が新たな七人ミサキの一人になってしまうんだ……。
だから今度は憑り殺された人が新たな七人ミサキの一人になってしまうんだ……。

え……。
憑り殺された上に自分も怨霊になっちゃうの……?
見ただけなのに……?
憑り殺された上に自分も怨霊になっちゃうの……?
見ただけなのに……?

タチ悪いよね。
しかも七人ミサキになってしまうと誰かを憑り殺さないと成仏できないから、成仏したければ生きてる人を殺さないといけないというジレンマに……。
しかも七人ミサキになってしまうと誰かを憑り殺さないと成仏できないから、成仏したければ生きてる人を殺さないといけないというジレンマに……。

うわぁ……。
なんか、まるでマルチ商法みたいね……。
なんか、まるでマルチ商法みたいね……。

え、何処が……?

自分が助かるために他人を犠牲にする所……?

どう感じたかは人によって様々だけど、その感想は違うとだけ言っておこうかな……。

ところで、アンタはさっき「海や川に出没する」って言ってたけど、七人ミサキのミサキって“岬”って意味?

いや、漢字で書くと“御先”だね。
元々は神様の使いの事を御先って呼んでいたみたいなんだけど、今では悪霊や怨霊もひっくるめて御先って呼んでいるみたいだね。
元々は神様の使いの事を御先って呼んでいたみたいなんだけど、今では悪霊や怨霊もひっくるめて御先って呼んでいるみたいだね。

へー。
つまり七人の怨霊って意味か。
つまり七人の怨霊って意味か。

そうだね。
なんでカタカナ表記なのかは分からないけどね。
なんでカタカナ表記なのかは分からないけどね。

そしてこの七人ミサキの初代の七人は四国で有名な戦国武将の家臣達だといわれているんだ。
初代七人ミサキは吉良親実の家臣たち?


それじゃ次に七人ミサキが生まれた理由について。
実は七人ミサキが誕生した説は色々あるんだけど、その中でも有名なのが吉良親実の家臣達の怨霊という説。
実は七人ミサキが誕生した説は色々あるんだけど、その中でも有名なのが吉良親実の家臣達の怨霊という説。

ちなみに吉良親実って知ってる?

あ、知ってる知ってる。
長宗我部元親の弟の息子でしょ?
長宗我部元親の弟の息子でしょ?

おおー、良く知ってたね。
長宗我部元親は有名だけど弟の吉良親貞とその子供の吉良親実は意外と知名度が低いから知らないと思ってた。
長宗我部元親は有名だけど弟の吉良親貞とその子供の吉良親実は意外と知名度が低いから知らないと思ってた。

なんかゲームかアニメで見た。

ああ……。なるほど、そっちか……。

まぁ知ってるなら話が早い。
実は戦国時代の四国は七人の豪族によって支配されていたんだ。
実は戦国時代の四国は七人の豪族によって支配されていたんだ。

あ、そうなんだ?

ちなみにその七人の豪族というのが
・本山家(本山茂宗)
・吉良家(吉良親実)
・安芸家(安芸国虎)
・津野家(津野親忠)
・香宗我部家(香宗我部親泰)
・大平家(大平元国)
・長宗我部家(長宗我部元親)
の七人。
・本山家(本山茂宗)
・吉良家(吉良親実)
・安芸家(安芸国虎)
・津野家(津野親忠)
・香宗我部家(香宗我部親泰)
・大平家(大平元国)
・長宗我部家(長宗我部元親)
の七人。

この七人を「土佐七雄」っていうんだけど、七人の豪族が支配しているといっても実質のトップは長宗我部家で、どちらかというと長宗我部家が他の六つの勢力を取りまとめていたって感じだったんだ。

ふんふん。

そしてそんなある日、土佐七雄の一人である吉良親実は長宗我部元親に謀反の罪を着せられて切腹を命じられてしまうんだ。

え、なんで?

土佐七雄の跡継ぎのいざこざが関係しているんだけど、まぁその辺は今回の話とは関係ないから気になるなら自分で調べてね……。

そして吉良親実は実際に切腹させられてしまうんだけど、その時に吉良親実の忠実な七人の家臣も首を切り落とされて処刑されてしまうんだ……。

ほう……。

そしてそれ以降というもの、元親の身の回りで怪奇現象がおきたり、巷で「首のない七人の怨霊が出た」という噂が流れ始めるんだ。

それが七人ミサキって事?

そういうこと。
ちなみに祟りを恐れた元親は親実の魂を鎮めようと吉良神社という神社を作ったみたいだけど、あんまり効果はなかったんだって。
ちなみに祟りを恐れた元親は親実の魂を鎮めようと吉良神社という神社を作ったみたいだけど、あんまり効果はなかったんだって。

まぁそりゃいきなり切腹を命じられたら怨霊にもなるわ……。

あれ……?
吉良親実と七人の家臣だと全部で八人にならない……?
吉良親実と七人の家臣だと全部で八人にならない……?

あー。なんでも親実本人は七人ミサキにはなってないみたいだよ。

え、なんで……。

それはわかんない……。
実は縁起が悪い「七」!元々は切腹して内臓が飛び出ている様!?

七人ミサキの話自体は意外と面白いけれど、七って縁起がいい数字だと思っていたのに、こういう話を聞かされると変に意識しちゃいそうね……。

マキエはラッキーセブンの事を言っているんだろうけど、ラッキーセブンは元々外国の言葉だし、むしろ日本の「七」という漢字は縁起が悪い漢字だったりするんだよ?

え、まじで……。

漢字って元々は絵が変化した象形文字だって事は知っているとおもうんだけど、実は「七」という漢字は切腹して内臓が飛び出てきている絵が元になっているんだよ……。

は?
何、その無理やり作ったような話は。
何、その無理やり作ったような話は。

いや、本当なんだって……!
「七」っていう漢字は元々「切る」っていう意味の漢字なんだよ……。
「七」っていう漢字は元々「切る」っていう意味の漢字なんだよ……。

ちなみに絵としては“十字に斬り込んで、一番下の部分から血や臓物が流れ出ている”って状態の絵だね……。

えええ……。
なんでそんな不気味な漢字がしれっと数字になってんのよ……。
なんでそんな不気味な漢字がしれっと数字になってんのよ……。

昔は漢字が無い時に音が似ている漢字を流用するっていう風習があったせいだね。
ただ、いつからか数字の「7」っていう意味の方が強くなって「切る」って意味は失われちゃったみたいだけどね。
ただ、いつからか数字の「7」っていう意味の方が強くなって「切る」って意味は失われちゃったみたいだけどね。

ちなみに「切る」っていう漢字は「七」と「刀」でしょ?
その名残は今でも少しは残ってるんだよ。
その名残は今でも少しは残ってるんだよ。

へー……。

もしかしたら七人ミサキは「七人」という意味と「切り殺された」という両方の意味をもつ怨霊なのかもしれないね。
まとめ

以上が日本の怨霊「七人ミサキ」についてでした。
どうだった?
どうだった?

なかなか私好みの話だったわね。
特に憑り殺された相手が七人ミサキの一人になっちゃうあたりとかゾクッっとしたわね。
特に憑り殺された相手が七人ミサキの一人になっちゃうあたりとかゾクッっとしたわね。

そうだね。
誰にも止める事ができないキラーマシーンみたいな感じだよね。
誰にも止める事ができないキラーマシーンみたいな感じだよね。

キラーマシーンって……。
なんかアンタがいうと安っぽく感じるわね……。
なんかアンタがいうと安っぽく感じるわね……。

あ、あと「七」の漢字の話が意外だったわね。
今まで数字としてしか見ていなかったせいもあるけど。
今まで数字としてしか見ていなかったせいもあるけど。

まぁ漢字って意外とグロテスクな絵を元にしているのも多いしね。

へー。例えば?

このままだと別の話が始まっちゃうから、それはまた別の機会で……。
それも読者の「たぬみー」さんからのリクエストにお応えして「七人ミサキ」について紹介したいと思いまっす!