零円札?
大昔は1円より安いお金が使われてたのは知ってるけど零円ってどういうこと?
大昔は1円より安いお金が使われてたのは知ってるけど零円ってどういうこと?
いや、そのままの意味だよ。
本当に零円。
何枚あっても零円。
本当に零円。
何枚あっても零円。
いやいやいや……。
そんな零円札なんて聞いたことないし、そもそも零円札なんて何の意味があるの?
そんな零円札なんて聞いたことないし、そもそも零円札なんて何の意味があるの?
ところがどっこい。
実は本物の零円札が存在するんだよ……。
実は本物の零円札が存在するんだよ……。
えぇ~……?
それじゃさっそく紹介していきまっす!
実在した本物の零円札
それじゃまずは口で色々説明するよりも、まずは実物を見てもらったほうが早いと思うので先に零円札をご覧いただきたいとおもいまっす。
その零円札はこちら!
……。
やっぱ偽札じゃん……。
やっぱ偽札じゃん……。
いやいやいや!
偽札じゃないよ、ちゃんと真ん中に「本物」って書いてるでしょ!
偽札じゃないよ、ちゃんと真ん中に「本物」って書いてるでしょ!
でもお店とかで使えないお金なんて意味がないじゃない……。
まぁ仮に使えたとしても零円だから何も買えないけどね。
あと、そもそもお金じゃないから偽札じゃないよ。
あと、そもそもお金じゃないから偽札じゃないよ。
またそんな屁理屈を……。
なんか今回のアンタはシャクに触るっていうかイライラする返しが多いわね。
なんか今回のアンタはシャクに触るっていうかイライラする返しが多いわね。
実はそれには訳があって、今僕が言った屁理屈のような事は後半への“フリ”だと思ってよ。
はぁ……。
で、ちなみにこれは何なの?
実はこれ「赤瀬川原平」っていう人の作品なんだよ。
作品?
そう。
ボクはあんまりアートには詳しくないけど、いわゆる現代アートっていうやつなのかな。
ボクはあんまりアートには詳しくないけど、いわゆる現代アートっていうやつなのかな。
さすが現代アート。
訳わかんないわね。
訳わかんないわね。
でもこの作品には深い想いが込められていて、実は赤瀬川さんは過去に一度「千円札裁判」と呼ばれる事件で有罪判決を受けたことがあるんだよ。
千円札裁判?
うん。
赤瀬川さんは過去に超精密な千円札を模写した作品を作っていてね。
それが偽札か否かという裁判が開かれたんだよ。
赤瀬川さんは過去に超精密な千円札を模写した作品を作っていてね。
それが偽札か否かという裁判が開かれたんだよ。
え、何。
じゃぁこの零円札も偽札犯が作ったってわけ?
そっちの方が気になるんだけど
じゃぁこの零円札も偽札犯が作ったってわけ?
そっちの方が気になるんだけど
いや、別に赤瀬川さんは偽札犯じゃないよ……。
美術史に名を残した「千円札裁判」。模写した千円は偽札なのか?
例えばマキエがデッサンの練習をしてたとして、千円札を完璧に模写したとしよう。
うん。
果たしてそれは偽札になるのかな?
ん……?
いや、ただの模写でしょ?
模写しただけで犯罪者呼ばわりされたらたまったもんじゃないわ。
いや、ただの模写でしょ?
模写しただけで犯罪者呼ばわりされたらたまったもんじゃないわ。
でもそれが情熱がこもりすぎるあまり本物とうり二つになったら……?
ええぇ~……。
それは本人の気持ち次第じゃないの……?
偽札を作りたかったのか、ただのデッサンだったのかによって決まるんじゃないの……?
それは本人の気持ち次第じゃないの……?
偽札を作りたかったのか、ただのデッサンだったのかによって決まるんじゃないの……?
そうだね。
でもその気持ちは本人しかわからないわけだよ。
でもその気持ちは本人しかわからないわけだよ。
まぁ何とでも言えるもんね。
そしてこの千円札裁判が起きた理由は赤瀬川さんが作った「千円札の模型」という作品がきっかけなんだ。
千円札の模型?
うん。
別名「模型千円札」とも呼ばれてるんだけど超精巧な片面刷りの千円札のような作品だったんだ。
別名「模型千円札」とも呼ばれてるんだけど超精巧な片面刷りの千円札のような作品だったんだ。
片面刷りってことは偽札じゃないって事よね?
そう。赤瀬川さんは当然偽札なんて作る気はなかった。
でも、当時「チ-37号事件」って呼ばれる偽札事件が起きていてね。
その犯人と間違われそうになったことがあるんだよ。
でも、当時「チ-37号事件」って呼ばれる偽札事件が起きていてね。
その犯人と間違われそうになったことがあるんだよ。
ああ、タイミングが悪かったって事ね……。
とはいっても、あくまで作品としての千円札だったから警察もすぐに偽札ではないとは分かったんだけど赤瀬川さんは結果的に懲役三か月の有罪判決になっちゃうんだ。
え、なんで!?
実は通貨及証券模造取締法っていう法律があって、その第一条に
「貨幣、政府発行紙幣、銀行紙幣、兌換銀行券、国債証券及地方債証券ニ紛ハシキ外観ヲ有スルモノヲ製造シ又ハ販売スルコトヲ得ス」
と定められている。
「貨幣、政府発行紙幣、銀行紙幣、兌換銀行券、国債証券及地方債証券ニ紛ハシキ外観ヲ有スルモノヲ製造シ又ハ販売スルコトヲ得ス」
と定められている。
簡単にいうと?
簡単にいうと
「紙幣や証券と勘違いするような紛らわしい物を製造したら駄目」
っていう法律だね。
「紙幣や証券と勘違いするような紛らわしい物を製造したら駄目」
っていう法律だね。
あー、つまり悪意がなくてもお金と勘違いしそうなものはダメって事?
そうそう。
そして警察は「偽札ではなくても通貨及証券模造取締法違反にあたる」として逮捕したってわけ。
そして警察は「偽札ではなくても通貨及証券模造取締法違反にあたる」として逮捕したってわけ。
ほう……。
でも、お金の模写ってどこまでがセーフでどこまでがアウトなのかしら……。
でも、お金の模写ってどこまでがセーフでどこまでがアウトなのかしら……。
それが明確には定められてないみたいだね……。
でも、結果的には裁判で「千円札の模型が公の信用を揺るがせる」と指摘されて有罪判決となったってわけ。
なんとなくわかってきたわ。
その有罪が納得いかなくて、またお金の作品を作ったって事ね?
その有罪が納得いかなくて、またお金の作品を作ったって事ね?
おお、その通り。
実は超精密に千円札を模写した「復讐の形態学(殺す前に相手をよく見る)」っていう作品も作ってるんだけど……
実は超精密に千円札を模写した「復讐の形態学(殺す前に相手をよく見る)」っていう作品も作ってるんだけど……
え、これも偽札認定されるんじゃないの……?
実は偽札と疑われないぐらいかなりデカい。
すごい……。
というか、今気づいたけどタイトルもすごいわね……。
というか、今気づいたけどタイトルもすごいわね……。
でも、模写して逮捕されたのに今度は本物を作ろうとするなんて何か不思議ね。
その件についても深い意味があったらしいよ。
紙幣はコピーだけど作品は本物。
マキエって紙幣ってどうやってできてるか知ってる?
あー、なんか原版があってそれを刷るんでしょ?
そう。
ということはお金はそもそも複製品なわけだよ。
ということはお金はそもそも複製品なわけだよ。
うん。
んん……?
言われて見ればそうなるのかしら……?
言われて見ればそうなるのかしら……?
つまり原版から複製されたお金が本物として扱われているわけだけど、赤瀬川さんは
「複製されたお金が本物で私の作品が偽物というのがおかしい」
と思い本物の零円札を作ったらしいんだ。
「複製されたお金が本物で私の作品が偽物というのがおかしい」
と思い本物の零円札を作ったらしいんだ。
え、でも零円札なんて存在しないから偽物なんじゃないの……?
いやいや、零円札が存在しないからこそ本物になるわけだよ。
つまり芸術作品としても本物で、日本銀行券の複製ではないから偽物では無い。
つまり芸術作品としても本物で、日本銀行券の複製ではないから偽物では無い。
つまり本物の零円札という訳。
あーー!こんがらがってきた!
アンタが最初に言ってた屁理屈が前振りって言ってたのはコレか!
アンタが最初に言ってた屁理屈が前振りって言ってたのはコレか!
そう。
まぁとにかく赤瀬川さんは本物にこだわり続けたってことだね。
まぁとにかく赤瀬川さんは本物にこだわり続けたってことだね。
本物ってなに……。
なんか禅問答みたいなことを言い出したな……。
まとめ
以上が本物の零円札と千円札裁判について。
意外と面白かったでしょ?
意外と面白かったでしょ?
んー……。
なんか釈然としないわね……。
なんとなく言いくるめられた気もするし……。
なんか釈然としないわね……。
なんとなく言いくるめられた気もするし……。
でもさー。
本物が存在しないと偽物になれないのと同じように偽物が存在しないのに本物になれないんじゃないの?
本物が存在しないと偽物になれないのと同じように偽物が存在しないのに本物になれないんじゃないの?
ん!?
お金の原版は複製して印刷したお金があるからこそ本物の原版になるわけで、印刷したお金が無ければ原版はただの原版なんじゃないかってこと。
つまり零円札の偽物が登場しない限り、対比する零円札は本物にはなれないんじゃないの?
つまり零円札の偽物が登場しない限り、対比する零円札は本物にはなれないんじゃないの?
いや、でも芸術作品としては本物だから……
あれ……?
あれ……?
まぁ物は言い様って事ね。
……(あっ、議論が面倒になって無理やりおわらしたな……)
それも実在した「本物の零円札」についてでっす!