あー。皿屋敷ってのは聞いたことあるかも。
お皿を割った女中さんが井戸に捨てられたけど、夜な夜な幽霊として現れて
「一枚足らなーい」
って言うやつでしょ?
お皿を割った女中さんが井戸に捨てられたけど、夜な夜な幽霊として現れて
「一枚足らなーい」
って言うやつでしょ?
そうそれ。結構有名だから一度は聞いたことあると思うんだ。
でも「一枚足らへん」っていう名台詞は有名でも、以外とストーリーの全貌を知らない人が多いんだよね。
でも「一枚足らへん」っていう名台詞は有名でも、以外とストーリーの全貌を知らない人が多いんだよね。
なんで関西弁……。
しかも名台詞って何よ……。
しかも名台詞って何よ……。
そこで今回は番町皿屋敷とお菊さんについて紹介していきまっす!
番町皿屋敷とお菊
この番町皿屋敷の物語の舞台は牛込御門内五番町という町。
五番町ってのは架空の町だけど、牛込御門というところは実在しています。
五番町ってのは架空の町だけど、牛込御門というところは実在しています。
牛込御門ってどこにあんの?
今の地名でいうなら東京の飯田橋あたりかな。
そして、その一角に火付盗賊改の青山播磨守主膳の屋敷があったんだ。
そして、その一角に火付盗賊改の青山播磨守主膳の屋敷があったんだ。
何その火付盗賊改って。
盗賊のねぐらみたいなやつ?
盗賊のねぐらみたいなやつ?
「火付盗賊改(ひつけとうぞくあらため)」ってのは今でいう警察みたいなもんかな。
それも放火と盗賊と博打に特化した警察。
いうなればお役人のお屋敷ってとこ。
それも放火と盗賊と博打に特化した警察。
いうなればお役人のお屋敷ってとこ。
ふーん。
そしてその屋敷には「お菊」と呼ばれる下女が丁稚奉公に来ていたんだ。
お、出てきたわね。お菊さん。
事件が起こったのは承応二年の正月の二日。
西暦に直すと1653年の1月2日。
お菊は主膳が大事にしていた皿十枚のうち、一枚を割ってしまうんだ。
西暦に直すと1653年の1月2日。
お菊は主膳が大事にしていた皿十枚のうち、一枚を割ってしまうんだ。
ふんふん。
起こった主膳の奥さんはお菊を延々と責め続けるだけど、それを見ていた主膳が登場。
お、助ける感じ?
いや、主膳はもっと怒り狂ってて皿一枚の罰として中指を切り落とせと命令したの。
おおう……。
皿一枚で指一本……。
皿一枚で指一本……。
で、指を切り落とすためにお菊を縄で締め上げて部屋に監禁していたんだけど、隙を見てお菊は逃げ出したんだ。
でもお菊は家の外には逃げずに家の裏にあった古井戸に身を投げて自殺してしまうんだ。
あれ。
お菊さんて自殺だったんだ。
お菊さんて自殺だったんだ。
そしてその日以降、夜になると古井戸から
「1枚……2枚……」
とお皿を数える女性の声が響き渡るという怪異現象が起き始める。
「1枚……2枚……」
とお皿を数える女性の声が響き渡るという怪異現象が起き始める。
しかも、その後すぐに生まれた主膳と奥さんの赤ちゃんには右手の中指が無かったんだって。
え……?
お菊さんってまだ指は切られてないわよね?
お菊さんってまだ指は切られてないわよね?
うん……。
なんで?
いや、そこはボクに聞かれても……
そして、主膳の屋敷は幽霊屋敷として有名になってしまうんだけど、そのせいでこの事件の事が公儀にばれて主膳は所領を没収されてしまう。
でも主膳の屋敷では主膳がいなくなっても夜な夜なお菊が現れて毎晩、お皿を数えるという怪奇現象は止まなかったんだ。
でも主膳の屋敷では主膳がいなくなっても夜な夜なお菊が現れて毎晩、お皿を数えるという怪奇現象は止まなかったんだ。
それを見かねた公儀は小石川伝通院の了誉上人という人に鎮魂を依頼。
お菊が現れるタイミングを見計らって上人が読経を行ったんだけどあんまり効果が無かった。
お菊が現れるタイミングを見計らって上人が読経を行ったんだけどあんまり効果が無かった。
ありゃりゃ。
ただ、上人は1枚足りないために化けて出ているという事に気が付いてお菊が「八枚……九枚……」と数えている時に「十枚」と付け加えたんだ。
落語の時そばみたいね。
するとお菊は「あらうれしや」といって消え去ったんだ。
これが番町皿屋敷の話。
へー。
私、お菊さんはてっきり怒ったお偉いさんに井戸に投げ入れられたんだと思ってたわ。
私、お菊さんはてっきり怒ったお偉いさんに井戸に投げ入れられたんだと思ってたわ。
あー。
実はそれも間違いじゃないよ。
実はそれも間違いじゃないよ。
ん?
どういうこと?
どういうこと?
様々な種類がある「皿屋敷」
実はこの番町皿屋敷なんだけど、実はかなりのパターンが存在します。
あ、そうなの?
どのへんが違うの?
どのへんが違うの?
いろいろあって全部は紹介しきれないけど「お皿」が「あわび貝」や「杯」になってたり、10枚のお皿が5枚だったり、井戸に捨てられてなかったり本当にいろんなパターンがあるんだ。
ちなみに「番町皿屋敷」っていうのは江戸が舞台の皿屋敷の話であって、他にも
・竹叟夜話:皿ではなく「杯」で女性の名前も「花野」
・播州皿屋敷:お菊はスパイでバレて惨殺。お皿の濡れ衣を着せられて井戸に捨てられる。
・牛込の皿屋敷:死因は絞殺。井戸登場せず。
・皿屋敷弁疑録:お皿すら登場せず。
とかがある。
・竹叟夜話:皿ではなく「杯」で女性の名前も「花野」
・播州皿屋敷:お菊はスパイでバレて惨殺。お皿の濡れ衣を着せられて井戸に捨てられる。
・牛込の皿屋敷:死因は絞殺。井戸登場せず。
・皿屋敷弁疑録:お皿すら登場せず。
とかがある。
一番有名なのがさっき紹介した「番町皿屋敷」なんだけど、マキエが言ってた「殺されて井戸に捨てられた」って話なら「播州皿屋敷」の話だね。
へぇー……。
色々あるのね……。
色々あるのね……。
っていうか一番最後の「皿屋敷弁疑録」ってのはお皿すら登場しないのに「皿屋敷」なの?
あー。それは更(さら)屋敷とかけてるみたい。
更屋敷?
空き家の屋敷の事。
話が似ているから一応、皿屋敷の類話としてカウントされてるみたいだね。
話が似ているから一応、皿屋敷の類話としてカウントされてるみたいだね。
ちょっと無理がある……。
落語でも人気な皿屋敷。
実はこの皿屋敷、落語でも非常に人気の噺だったりします。
え、怪談話なのに落語なの?
うん。
聞きたい?
聞きたい?
うんうん。
仕事熱心なお菊
番町皿屋敷が幽霊屋敷として有名になった時、町の若者たちが怖いもの見たさでお菊を見に行こうとするんだ。
怪談なら取り殺されるパターンでしょうけど、落語だとオチが読めないわね……。
その男たちはお菊が「9枚……」と数えるのを聞いてしまうと死んでしまうと言われていたから「6枚」あたりで逃げ出すように教わってたのね。
で、実際にお菊の幽霊を目撃するんだ。
でも男たちは教えを守って6枚あたりで逃げ出したから無事だったのよ。
でも男たちは教えを守って6枚あたりで逃げ出したから無事だったのよ。
ほう。
ただ、お菊があまりにも色っぽい姿で出てくるもんだから男たちは毎晩のようにお菊を見に行くようになったんだ。
……。
そして段々とお菊の噂が広まり皿屋敷の古井戸は毎晩のように人だかりができるようになっていたんだ。
そしてある日、お菊が「6枚」と数えたところで逃げ出そうとしたんだけど、あまりにも見物人が多すぎて遂に逃げ出すことに失敗してしまう。
おっとぉ……
死を覚悟した若者だったんだけど、お菊の「9枚」という声を聞いても死ななかったうえにお菊は「10枚」、「11枚」と数え続けるんだ
へ!?
そして18枚まで数えた時点でようやくお菊は数えるのをやめて井戸の中へ消えていこうとしたんだ。
なにそれ。
どういうこと?
どういうこと?
若者も不思議におもって勇気を絞って「なんで18枚まで数えたんだ」って聞いてみたんだよ
ふんふん。
するとお菊はこういったんだ
「明日休むから明日の分も数えた」
ってね。
ってね。
ぷっ!
律儀な幽霊ね。
律儀な幽霊ね。
あとはお坊さんが念仏で「ナンマイダー」って唱えたときに
「いくら数えても9枚です」
って返事したってのもあるよ。
「いくら数えても9枚です」
って返事したってのもあるよ。
ん?
どういうこと
どういうこと
「ナンマイダー」を「何枚だ」と勘違いしたっていうオチ
あははは!
いいじゃないそれ!
いいじゃないそれ!
以上が日本三大幽霊の一人、お菊さんについての紹介でした!
お菊さんって意外とおちゃめなのね
いや、あれは落語の中の話だからね……?
その名も「番町皿屋敷」のお菊さんです!