エンジェルメーカ-?
なんか可愛らしい名前の事件ね。
なんか可愛らしい名前の事件ね。
名前はね。
でも、事件自体はタガの外れた村人たちが自分がムカつく人と思った人を片っ端から毒殺していくっていう恐るべき集団事件だよ
でも、事件自体はタガの外れた村人たちが自分がムカつく人と思った人を片っ端から毒殺していくっていう恐るべき集団事件だよ
何それ……。
名前と事件内容が違いすぎる……。
名前と事件内容が違いすぎる……。
しかも、毒殺された人は160人以上!
詳細不明を含めると300人を超えると言われている超大規模な殺人事件でっす。
詳細不明を含めると300人を超えると言われている超大規模な殺人事件でっす。
エンジェルメーカーって、死者を作るって意味のほうか……。
それじゃ早速紹介していきまっす!
戦争がきっかけで狂い始めた村「ナジレブ」
この事件の舞台は1920年代のハンガリーにあるナジレブという小さな田舎の村。
自然豊かな村だったんだけど、第一次世界大戦が始まった事がきっかけで恐るべき恐怖の村へと変貌を遂げる事になるんだ。
自然豊かな村だったんだけど、第一次世界大戦が始まった事がきっかけで恐るべき恐怖の村へと変貌を遂げる事になるんだ。
第一次世界大戦は1915年に始まるんだけど、すべての村の男たちはこの第一次世界大戦に参加。
その結果、村に残ったのは女性と子供のみになる。
その結果、村に残ったのは女性と子供のみになる。
戦争で旦那や男手を取られたら辛いでしょうね……。
いや、意外とそうでもなかったみたい。
実は当時の世界観は徹底した男尊女卑だったという事もあって、旦那や村の男たちが戦争に行くのは寂しい反面、女性たちからすれば日頃の虐げられている生活から解放されるという一面もあったみたい。
実は当時の世界観は徹底した男尊女卑だったという事もあって、旦那や村の男たちが戦争に行くのは寂しい反面、女性たちからすれば日頃の虐げられている生活から解放されるという一面もあったみたい。
あらそうなの。
亭主元気で留守がいいってやつかしら……。
亭主元気で留守がいいってやつかしら……。
そして村の女性たちが悠々自適に暮らしていたある日、ナジレブに急遽、捕虜収容所が建てられることになったんだ。
ほう。
当然、その捕虜収容所を管理するのは村に残った女性たちの役割になるわけだけど、長い間、男がいなかった村に突如として現れた大勢の捕虜の男たち。
ちなみに連れてこられた捕虜はイタリア人と言われているんだけど、このイタリア人達が現れたことによって徐々にこの村は狂い始めていきます。
ちなみに連れてこられた捕虜はイタリア人と言われているんだけど、このイタリア人達が現れたことによって徐々にこの村は狂い始めていきます。
あ……。なんかオチが読めてきたかも。
村全体が失楽園と化したナジレブ
最初の方にも言ったけど、当時は徹底した男尊女卑。
でも、捕虜収容所に収容されているイタリア人たちは捕虜という立場もあって非常に紳士的な男性ばかりだったらしい。
でも、捕虜収容所に収容されているイタリア人たちは捕虜という立場もあって非常に紳士的な男性ばかりだったらしい。
その結果、今まで男性に虐げられていた村の女性たちは捕虜の男性が非常に魅力的に見え始めて、最終的には愛人関係になっていくんだ。
しかも、ナジレブは閉鎖的な村だったから女性の行為はエスカレートする一方。
次第に捕虜を愛人にするというのはいたって普通の行為になって、中には5人以上の愛人を作った女性もいたらしい。
次第に捕虜を愛人にするというのはいたって普通の行為になって、中には5人以上の愛人を作った女性もいたらしい。
あー……。んー……。
今まで抑圧されてた何かが噴き出しちゃったのかしら……。
今まで抑圧されてた何かが噴き出しちゃったのかしら……。
かもね。
でも、この秘密の楽園は永くは続かなかったんだ。
でも、この秘密の楽園は永くは続かなかったんだ。
なんで?
村の男たちが生還してきたんだよ。
心と体に傷を負って帰ってきた村の男たち
本来、旦那や村の男性が戦争から生還する事はこれ以上となく喜ばしい事のはずなんだけど、今まで好き放題やってた上に愛人までこしらえちゃった女性からしたら村の男性が返ってくるのは邪魔なだけ。
しかも、元から亭主関白で威圧的な男たちは戦争で辛い思いをして心的外傷後ストレス障害を患ったり「俺は戦争で戦ってきた」というプライドのせいで今まで以上に女性に対して威圧的になっていたんだ。
トラウマはともかく変なプライドを振りかざす男はサイテーね……。
一方、女性たちからすれば今まで村の男がいない間、男がするような力仕事もこなしていたし、自ら選んだ愛人もいる状態。
村の女性たちは帰ってきた村の男性たちを邪魔者と思うようになるまで時間はかからなかった
村の女性たちは帰ってきた村の男性たちを邪魔者と思うようになるまで時間はかからなかった
あー……。
なんかいやな予感がしてきたわよー……。
なんかいやな予感がしてきたわよー……。
そして、ある日、一人の村の女性が
「ユリウシュ・ファゼカシュ」
という人に旦那の愚痴をこぼし始めたんだ。
「ユリウシュ・ファゼカシュ」
という人に旦那の愚痴をこぼし始めたんだ。
この愚痴がきっかけで300人をも超える殺人事件の火ぶたが切って落とされる事となる。
エンジェルメーカーの筆頭「ユリウシュ・ファゼカシュ」
村の女性の相談を受けた
「ユリウシュ・ファゼカシュ」
という女性は村の助産師で、唯一の医学の知識がある人物。
「ユリウシュ・ファゼカシュ」
という女性は村の助産師で、唯一の医学の知識がある人物。
そしてユリウシュに旦那の愚痴をこぼしていたの村の女性は
「これを飲ませたら大人しくなるわよ」
といってユリウシュから薬を渡されるんだ。
「これを飲ませたら大人しくなるわよ」
といってユリウシュから薬を渡されるんだ。
……。
絶対薬じゃないわよね……。
絶対薬じゃないわよね……。
そう。
実はこの時に渡されたのは猛毒であるヒ素。
実はこの時に渡されたのは猛毒であるヒ素。
うわ、でた……。
こんな昔から毒薬として使われてたのね。
こんな昔から毒薬として使われてたのね。
日本でもカレー事件とか色々あったよね……。
そしてナジレブでは次第に
「戦争に行って返ってきた既婚男性が死に続ける」
という奇妙な現象が起き始めるんだ。
「戦争に行って返ってきた既婚男性が死に続ける」
という奇妙な現象が起き始めるんだ。
明らかに殺っちゃってるわよね……。
警察は不審に思わなかったの?
警察は不審に思わなかったの?
実はナジレブには警察が無かったんだよ。
しかも、村人の死亡診断書を書いているのは唯一、医学の知識がある首謀者のナリウシュ。
このせいで事件が明るみに出るまで14年もの年月がかかったんだ。
しかも、村人の死亡診断書を書いているのは唯一、医学の知識がある首謀者のナリウシュ。
このせいで事件が明るみに出るまで14年もの年月がかかったんだ。
14年!?
その間は女性たちのやりたい放題って事!?
その間は女性たちのやりたい放題って事!?
そう。
そしてこの暗殺はどんどんとエスカレートしていくんだ。
そしてこの暗殺はどんどんとエスカレートしていくんだ。
エスカレートする暗殺
この暗殺は最初のうちは自分に暴力や威圧的な態度をとる夫だけだったんだけど、徐々にその矛先が増え始めていく……
というと?
暗殺する対象が
「邪魔な旦那」
から
「自分が気に食わない相手」
になり始めたんだよ。
「邪魔な旦那」
から
「自分が気に食わない相手」
になり始めたんだよ。
ぇぇ……
例えば?
例えば?
それはもう誰でもさ。
ネチネチと煩わしい姑。
うるさい隣人。
そして出来の悪い息子。
とにかく自分たちが気に食わない人間を片っ端から毒殺していったんだよ。
ネチネチと煩わしい姑。
うるさい隣人。
そして出来の悪い息子。
とにかく自分たちが気に食わない人間を片っ端から毒殺していったんだよ。
ちなみにこの時点で暗殺を行っていた女性の数は40人を超えると言われていて、村に住む女性の殆どが暗殺に手を染めている状態だったみたい。
彼女たちは自分たちの事を
「エンジェル・メーカー」
と名乗って暗殺を繰り返していたらしい。
「エンジェル・メーカー」
と名乗って暗殺を繰り返していたらしい。
40人の共犯者ってすごいわね……。
一体どうやってそんなに仲間を集めたのかしら。
一体どうやってそんなに仲間を集めたのかしら。
みんな同じ悩みを抱えてたから簡単だったみたいだよ。
「この薬を旦那に飲ませれば楽になるわよ」
っていうだけでどんどん仲間が増えていったみたい。
「この薬を旦那に飲ませれば楽になるわよ」
っていうだけでどんどん仲間が増えていったみたい。
よっぽど普段から男性に虐げられてたのね……。
そして事件が明るみになる間、ナジレブでの死者は300人を超える事となるんだけど、ナレジブの人口は当時では1500人前後って言われていたから全体人口の2割の人間が殺されたことになる。
殺し過ぎでしょ!
ただ、この事件は1通の匿名の手紙によって終末を迎えるんだ。
1通の裏切り者の手紙
最初のうちは邪魔な村の男性を殺すだけだったけど、気に食わない人間を殺し始めたときから女性たちの間では
「いつ自分が殺されるかわからない」
という不安が付きまといはじめる。
「いつ自分が殺されるかわからない」
という不安が付きまといはじめる。
まぁそりゃ気に食わない相手をどんどん暗殺していけば、疑心暗鬼になるのは当然よね……。
そんなある日、警察に1通の匿名の手紙が届くんだ。
その手紙の内容は
「サボー(村の女性)がワインに毒を飲ませて男を殺す計画を立てている」
という物。
その手紙の内容は
「サボー(村の女性)がワインに毒を飲ませて男を殺す計画を立てている」
という物。
おー。ついに裏切り者が……。
そして警察はサボーに取り調べを実施。
その結果、サボーは毒殺を計画していたことを自供。
その結果、サボーは毒殺を計画していたことを自供。
そして毒殺を自白したときに同時に
「ブケノヴェスキと一緒に計画していた」
と自供したんだ。
「ブケノヴェスキと一緒に計画していた」
と自供したんだ。
おーっと……
道連れまで……
道連れまで……
当然、警察はブケノヴェスキを逮捕。
そして同様に取り調べを行った結果、今度は首謀者でありエンジェル・メーカーの元締めであるユリウシュの名前を自供するんだ。
そして同様に取り調べを行った結果、今度は首謀者でありエンジェル・メーカーの元締めであるユリウシュの名前を自供するんだ。
一方で、ユリウシュは2人が警察に連れていかれたことを知って仲間である共犯者たちの家に回って警告していた。
しかし、この時点ではすでに警察に後を付けられていて家を回って警告していたことが裏目に出て今回の事件にかかわったと思われる女性すべてが逮捕されることになるんだ。
しかし、この時点ではすでに警察に後を付けられていて家を回って警告していたことが裏目に出て今回の事件にかかわったと思われる女性すべてが逮捕されることになるんだ。
あー。
遂にユリウシュ天下も終わりか。
遂にユリウシュ天下も終わりか。
逮捕された村の女性たち待ち受けていたもの
そして今回の事件で逮捕された女性たちは全部で38名。
分かっている内訳としては
追訴:26人
終身刑:7人
絞首刑(死刑):8人
という記録が残ってる。
追訴:26人
終身刑:7人
絞首刑(死刑):8人
という記録が残ってる。
しかも絞首刑にされた女性たちは見せしめとして体が腐り落ちるまでさらし者にされたらしい。
あー……。
まぁ自分達がしたことを考えると仕方ないのかなぁ……。
まぁ自分達がしたことを考えると仕方ないのかなぁ……。
ところでユリウシュはどうなったの?
やっぱり絞首刑?
やっぱり絞首刑?
いや、ユリウシュは逮捕されてないよ
は!?
なんで!?
なんで!?
ユリウシュは逃げられないと分かると自分もヒ素を飲んで自殺しちゃったんだ。
どっちにしろ絞首刑になることも目に見えてたしね。
どっちにしろ絞首刑になることも目に見えてたしね。
そこは罪を償ってほしかったな……。
これがハンガリーで起きた村人の女性の殆どが殺人者になるという恐ろしいエンジェルメーカー事件の全貌。
一回暴走しちゃったり、集団心理が働くと理性が働かなくなるっていう典型的な例だね。
一回暴走しちゃったり、集団心理が働くと理性が働かなくなるっていう典型的な例だね。
集団心理って怖いわねー……。
でもさ、この事件って村の男がもっと女性に対して優しくしてりゃ起こらなかったんじゃないの?
あー、それもそうかもねー。
……。
いや!ボクを睨んだってなんも解決せぇへんよ!?
ハンガリーの小さな村で実際に起きた集団殺人事件についてでっす!