……?
意味が分からないと思うけど、実はゴンドラに巨大な風船をくくりつけて風船の力だけでアメリカを目指した冒険家がいたっていう話があるんだよ。
もしかしてディズニー映画の「カールじいさんの空飛ぶ家」の話じゃないでしょうね?
ああ、イメージ的にはそんなかんじ!
「カールじいさんの空飛ぶ家」のカールじいさんを日本人の中年男性にして、空飛ぶ家を空飛ぶゴンドラにした感じかな。
「カールじいさんの空飛ぶ家」のカールじいさんを日本人の中年男性にして、空飛ぶ家を空飛ぶゴンドラにした感じかな。
なんか駄作な話な気がするわねぇ……。
駄作?
そんな現実味のない都市伝説なんて誰も信じないでしょうに……
都市伝説もなにも実話だけど?
……え?
それじゃ早速紹介していきまっす!
実在した風船おじさん。
風船おじさんの正体は東京都に住んでいた「鈴木 嘉和(すずき よしかず)」さん。
元々はピアノの調律師として働いていたんだけど、1984年に「ミュージック。アンサンブル」っていう音楽教材を販売する会社を設立したんだ。
元々はピアノの調律師として働いていたんだけど、1984年に「ミュージック。アンサンブル」っていう音楽教材を販売する会社を設立したんだ。
ふんふん。
しかし事業は失敗。
そしてなんと約4億円もの借金を抱えて倒産してしまったんだ。
そしてなんと約4億円もの借金を抱えて倒産してしまったんだ。
あらら。
そんな鈴木さんが考えたのが
「出資者を募ってビニール風船で太平洋を横断して借金を返済する」
という方法。
「出資者を募ってビニール風船で太平洋を横断して借金を返済する」
という方法。
なんでいきなりそんなことを……。
実は鈴木さんはだいぶ前からビニール風船に取り憑かれていたみたいで何度か風船に関するトラブルを起こしてるんだよ。
例えばどんな?
んー。
椅子に3メートル級の風船を二つくくりつけて飛行して民家の屋根に墜落したり?
椅子に3メートル級の風船を二つくくりつけて飛行して民家の屋根に墜落したり?
「親方!空からおっさんが!」
って感じね……。
って感じね……。
ボクなら受け取らないけどね……。
あとは1989年に開催された横浜博覧会でヘリウム風船で浮かぶゴンドラを作って博覧会場に設置して、そのゴンドラにのって屋外へ飛んでいくっていうパフォーマンスをしようとしたり。
んー……。
この話が全部真実ならちょっとアブないおじさんなのかな……?
この話が全部真実ならちょっとアブないおじさんなのかな……?
ちょっと……かなぁ……?
まぁとにかく「風船で空を飛ぶ」っていう事に関してかなりの執念があったみたいだね。
まぁとにかく「風船で空を飛ぶ」っていう事に関してかなりの執念があったみたいだね。
無理やりアメリカに向かった風船おじさん
そしてこの風船おじさんがアメリカに出発したのは1992年。
当時52歳だった風船おじさんはゴンドラに大量の風船を括りつけた「ファンタジー号」を用意したんだ。
当時52歳だった風船おじさんはゴンドラに大量の風船を括りつけた「ファンタジー号」を用意したんだ。
よくまぁそんな危険な行為に許可が出たわね。
もちろん無許可だよ。
日本の国土交通省とアメリカの連邦航空局が正式に拒否したっていう記録が残ってる。
あと仁摩町なんて丁寧に文書まで作って却下してたよ。
日本の国土交通省とアメリカの連邦航空局が正式に拒否したっていう記録が残ってる。
あと仁摩町なんて丁寧に文書まで作って却下してたよ。
そりゃそうよね……。
でも風船おじさんはあきらめきれなかったのか琵琶湖で200メートルから300メートルの上昇実験を行う許可に切り替えたんだ。
その結果「地上からロープを係留した状態にする」という条件で実験の許可を得たんだ。
その結果「地上からロープを係留した状態にする」という条件で実験の許可を得たんだ。
あ、嫌な予感……。
そして同志社大学の教授や朝日新聞の局長、あとフジテレビのスタッフを招待して11月23日に実験を開始。
100メートルぐらいまで上昇したかとおもうと、すぐに風船おじさんは地上に降りてきたんだ。
100メートルぐらいまで上昇したかとおもうと、すぐに風船おじさんは地上に降りてきたんだ。
ん?
なんかあった?
なんかあった?
そしてなんと風船おじさんは地上に係留しているロープを撤去。
そして「行ってきます」というセリフと共に再び上昇をはじめたんだ。
そして「行ってきます」というセリフと共に再び上昇をはじめたんだ。
え、係留ロープが無いって事は……。
そう。
当然ながら飛んでっちゃう。
当然ながら飛んでっちゃう。
招待されていた同志社大学の教授は
「おい!行ってきますってどこに行くんだ!」
って慌てて聞いたところ
「アメリカですよ」
といって空へどんどんと昇って行ったんだって。
「おい!行ってきますってどこに行くんだ!」
って慌てて聞いたところ
「アメリカですよ」
といって空へどんどんと昇って行ったんだって。
しかも、これは計画されていたみたいで
「太平洋を横断しようとしたら家にマスコミが駆けつけるから」
って言う理由で家族をホテルに宿泊させていたんだ。
「太平洋を横断しようとしたら家にマスコミが駆けつけるから」
って言う理由で家族をホテルに宿泊させていたんだ。
もう最初っから国土交通省との約束を破る気満々じゃん……。
ファンタジー号の出発から救難信号発信、そして失踪まで
実は風船おじさんはちゃんと携帯電話を持っていてテレビ局は慌てて風船おじさんに電話したんだ。
電話は正常につながって「ヘリウムが少し漏れているけど大丈夫」って言ってたらしい。
電話は正常につながって「ヘリウムが少し漏れているけど大丈夫」って言ってたらしい。
いや、大丈夫じゃないでしょそれ……。
他にも家族が電話を掛けた時には
「高度が意外と上がらない」
「海に出た」
「朝焼けがきれいだ。行けるところまで行くけど心配しないでね」
っていう会話もしていたんだって。
「高度が意外と上がらない」
「海に出た」
「朝焼けがきれいだ。行けるところまで行くけど心配しないでね」
っていう会話もしていたんだって。
意外と余裕みたいね。
まぁそれが最後のセリフになるんだけどね……。
え?
出発したのは23日の夕方ごろだったんだけど、実は24日深夜にはファンタジー号からSOS信号が発信され始めたんだ。
このSOS信号をうけて海上保安庁は捜索機「ファルコン900」を出動。
25日の朝8時に宮城県から800㎞ほど離れた海上で飛行中のファンタジー号を発見。
25日の朝8時に宮城県から800㎞ほど離れた海上で飛行中のファンタジー号を発見。
え、琵琶湖から出発してもう宮城県にいたの!?
凄いよね。
というかファンタジー号を発見できた海上保安庁もすごいよね。
というかファンタジー号を発見できた海上保安庁もすごいよね。
でも、この時点で風船おじさんはSOS信号を止めていて、偵察機に乗っている職員に手を振ったりゴンドラの荷物をすてて高度を上げたりしていたんだ。
一応、3時間ほど偵察を行ったんだけど助けを要求しているようには見えなかったので海上保安庁は「飛行続行の意志あり」と判断して捜索機を撤収させたんだ。
一応、3時間ほど偵察を行ったんだけど助けを要求しているようには見えなかったので海上保安庁は「飛行続行の意志あり」と判断して捜索機を撤収させたんだ。
いや、無理やりでも止めなさいよ……。
そしてそれ以後はSOS信号は出なかったんだけど、風船おじさんはそのまま行方が分からんくなってしまうんだ。
え……意外とあっけない終わり方ね……。
ちなみに風船おじさんはどうなったの?
果たしてファンタジー号の行方は?
残念ながら行方不明になったまま見つかってないから詳細はわからない。
でも専門家曰く「生存している可能性はゼロに等しい」っていうコメントを出してるよ。
でも専門家曰く「生存している可能性はゼロに等しい」っていうコメントを出してるよ。
そりゃそうでしょうね。
あと家族が捜索を願いをだした事からアメリカ合衆国だけじゃなくてカナダやロシアにも救難要請をだしたっていう記録は残ってるよ。
え……。
「日本人が風船のゴンドラにのって消えたから、あんたの国にいったら助けてあげて」
って事?
「日本人が風船のゴンドラにのって消えたから、あんたの国にいったら助けてあげて」
って事?
そう。
それを聞かされた外国の反応が気になるところだね……。
それを聞かされた外国の反応が気になるところだね……。
一応今でも捜索願が出てるから戸籍上は生きてることになってるみたいだけど、もうこの世にはいないんだろうね……。
でもやりたい事を最後までやれたんなら本望じゃない?
私もちょっと風船おじさんが見た風景とかも気になるし……。
私もちょっと風船おじさんが見た風景とかも気になるし……。
そうだね。
360℃一面が海で、そこで見える朝焼けとかは素晴らしいだろうね。
360℃一面が海で、そこで見える朝焼けとかは素晴らしいだろうね。
でも、残された家族には4億円の借金が残ってて今でも奥さんが必死になって働いて返却してるらしいよ……
やりたい事をやりすぎるのも問題ね……
全身に風船を巻き付けて行方不明になったおじさんについてのお話でっす!