

ん?
検索してはいけない言葉ってホラーとかグロい話とかじゃないの?
検索してはいけない言葉ってホラーとかグロい話とかじゃないの?

そうだよ?

なんでラブストーリーが検索してはいけない言葉になっているのよ。

普通のラブストーリーなら別に大した事ないんだろうけど、今回の話は“究極”のラブストーリーだからね。

?

前回、生きたマネキン「ラ・パスクァリータ」について紹介したけれど、そこでマヤさんから「エレナの話を思い出した」っていうコメントを頂いてね。
せっかくなので記事にしてみようと思ったんだ。
せっかくなので記事にしてみようと思ったんだ。

あっ……。そっち系……?
つまり死体をどうこうする的な……?
つまり死体をどうこうする的な……?

そう。
恋は盲目っていうけれど、ちょっと行き過ぎちゃった感じかな。
恋は盲目っていうけれど、ちょっと行き過ぎちゃった感じかな。

なんか嫌な予感……。

それじゃ早速紹介していきまっす!
うら若き女性に恋に落ちた初老の男性「カール・テンツラー」

今回の話は1930年代にアメリカのフロリダ州キーウェストで起こった出来事なんだけど、当時、そこにはマリーン・ホスピタルという海兵隊病院があったんだ。

ふんふん。

そして今回の主役はそこでレントゲン技師として働いていた「カール・フォン・コーゼル(Carl von Cosel)」という男性。
このカールがとある女性に一目ぼれした事から物語が始まります。
このカールがとある女性に一目ぼれした事から物語が始まります。

ちなみにカール・フォン・コーゼルっていうのは偽名で本名は「カール・テンツラー(Carl Tanzler)」と言います。

え、何で偽名……。

実はカールはドイツから移民してきた人物でね。
1926年に妻と娘2人を連れてドイツから移り住んできたんだ。
1926年に妻と娘2人を連れてドイツから移り住んできたんだ。

む。つまり不法入国で偽名を使っていると?

いや、そうじゃない。
実はカールは移住が完了した翌年に妻と娘二人を捨てて失踪。
それ以降、カールは「カール・フォン・コーゼル」という偽名をつかっていたんだ。
実はカールは移住が完了した翌年に妻と娘二人を捨てて失踪。
それ以降、カールは「カール・フォン・コーゼル」という偽名をつかっていたんだ。

偽名を使うなら徹底的に変えなさいよ……。
なんでカールだけ一緒なのよ……。
なんでカールだけ一緒なのよ……。

まぁそれはいいとして、カールは勤めていた病院で患者として通院していた「マリア・エレナ・ミラグロ・ド・オヨス(Maria Elena Milagro de Hoyos)」という女性に一目惚れしてしまうんだ。


長い長い長い……。
何人の人……?
何人の人……?

エレナはキューバ人だね。
キューバから移民してきた人。
キューバから移民してきた人。

ちなみにエレナの病気は結核。
しかもかなり末期状態で、医者もエレナの予後が予測できないぐらい症状が進行している状態だったんだ。
しかもかなり末期状態で、医者もエレナの予後が予測できないぐらい症状が進行している状態だったんだ。

あらら……。

でも、カールはそんな事をお構いなしにエレナに猛アタックし続けたんだ。

え……。
でもカールって妻も娘もいたんでしょ……?
でもカールって妻も娘もいたんでしょ……?

うん……。
しかも当時のカールは50代だったりもする……。
しかも当時のカールは50代だったりもする……。

エレナは?

エレナは当時22歳。

はい、アウト……。

いやいや、愛があれば年の差なんて関係ないかもしれないじゃない。

一方的過ぎるのよ。しかも既婚者だし。

あ、ちなみにエレナも既婚者だったりします。

もう泥沼じゃん。

ただ、エレナの結核が末期まで進んでいたせいでエレナの結婚生活は離婚寸前というか、殆ど離縁状態だったみたい。

あー……。

一方でカールはそれをチャンスと捉えて
「私があなたの結核を治療します!もし治ったら私と結婚してください!」
とプロポーズしたんだってさ。
「私があなたの結核を治療します!もし治ったら私と結婚してください!」
とプロポーズしたんだってさ。

え?
エレナはその条件を飲んだの?
エレナはその条件を飲んだの?

結果的にはのむ形になったみたいだよ。
そしてカールはそれ以降、レントゲン機材をエレナの自宅に持ち込んで独自の治療を行ったり、宝石やドレスをプレゼントしたり、それはもうエレナに尽くしまくったんだ。
そしてカールはそれ以降、レントゲン機材をエレナの自宅に持ち込んで独自の治療を行ったり、宝石やドレスをプレゼントしたり、それはもうエレナに尽くしまくったんだ。

ふーん。
ちょっと行き過ぎている気がするけど、まぁまだラブストーリーといえばラブストーリーよね。
ちょっと行き過ぎている気がするけど、まぁまだラブストーリーといえばラブストーリーよね。

まぁ確かにこの辺は「ちょっとストーカー気味のおじいさん」って感じだよね。

ただ、本当に恐ろしいのはこれからさ。
エレナの死に耐えきれず、壊れ始めてしまったカール

カールがエレナにプロポーズした翌年の1931年10月1日。
残念ながらエレナはこの世から去ってしまいます。
残念ながらエレナはこの世から去ってしまいます。

あら……。
意外と早かったわね……。
意外と早かったわね……。

元々末期状態だったしね。

でもカールが色んな治療をしたんでしょ?

カールはあくまでレントゲン技師だかね。
医者とは違って正しい治療とかを知っていた訳じゃなくて、殆どが民間療法的な根拠のない治療法だったみたい。
医者とは違って正しい治療とかを知っていた訳じゃなくて、殆どが民間療法的な根拠のない治療法だったみたい。

あー。なるほど。

そして当然エレナは埋葬される事になるんだけど、一方でカールは
「彼女が土に還るのは忍びないし耐える事ができない。」
と言って、エレナの家族の許可をもらった上で葬式の費用を全て負担した上、エレナのために立派な霊廟を建てたんだ。
「彼女が土に還るのは忍びないし耐える事ができない。」
と言って、エレナの家族の許可をもらった上で葬式の費用を全て負担した上、エレナのために立派な霊廟を建てたんだ。


すんごい……。

そしてカールは毎日欠かす事無くお墓参りに来ていたんだけど、この頃からカールは徐々におかしくなっていったんだ……。

というと?

お墓参りに来るたびにエレナの幽霊を見たり、声が聞こえていたりしたらしい。

あー……。

そして1年以上たったある日、お墓参りに来ていたカールは
「私をここから出して。私はあなたと一緒に居たいの。」
というエレナの声を聞いて、遂に墓を暴いて死体を持って帰っちゃったんだよ……。
「私をここから出して。私はあなたと一緒に居たいの。」
というエレナの声を聞いて、遂に墓を暴いて死体を持って帰っちゃったんだよ……。

げっ!
墓を暴きエレナの遺体を持ち帰って加工

カールがエレナの幻聴を聞いたのは1933年の4月。
カールは迷うことなく墓を暴き、そしてエレナの遺体を自宅へ持ち帰ってしまいます。
カールは迷うことなく墓を暴き、そしてエレナの遺体を自宅へ持ち帰ってしまいます。

エレナが亡くなったのが1931年だから……。

2年近く経過してるじゃない……。

そう。正確には1年半だね。
そしていくら霊廟に保管されていたとはいえ1年半も経ったエレナの遺体はすでにボロボロ。
全身は既にかなり腐敗が進んでいるし、持ち上げようものなら崩れ落ちるぐらいデロデロだったらしい。
そしていくら霊廟に保管されていたとはいえ1年半も経ったエレナの遺体はすでにボロボロ。
全身は既にかなり腐敗が進んでいるし、持ち上げようものなら崩れ落ちるぐらいデロデロだったらしい。

あわわわわ……。

ところがカールはそんな事も一切気にせず家に運び込み、エレナの遺体にエンバーミングを施して修復しようとしたんだ。

エンバーミングって?

まぁ簡単にいうと遺体の修繕や防腐処理だね。
火葬が一般的な日本だとあんまり馴染みが無いけれど、土葬が一般的な国では割と有名だったりするみたいだよ。
火葬が一般的な日本だとあんまり馴染みが無いけれど、土葬が一般的な国では割と有名だったりするみたいだよ。

え……。そんな腐敗が進行していてもできる物なの……?

まぁ今回は便宜上、エンバーミングって言っているけど実際は狂った老人による死体遊びだよね……。

ちなみに、カールが行ったのは内蔵を抜き取って代わりに綿を詰め込み、骨はピアノ線で補強。
そして皮膚は絹と蝋を使ってそれっぽく仕上げて、あとは抜け落ちた髪を使ってかつらを作り、目玉はガラス球をはめ込むって感じだったらしいよ。
そして皮膚は絹と蝋を使ってそれっぽく仕上げて、あとは抜け落ちた髪を使ってかつらを作り、目玉はガラス球をはめ込むって感じだったらしいよ。

……。

ちなみにこちらがその完成したエレナ。


いやいやいやいや!別人じゃん!
生前の面影ゼロじゃん!
生前の面影ゼロじゃん!

まぁ素人の限界だったんだろうね。

ただ、カールはこのエレナを“生前と変わらぬ美しさ”と語っていてかなり満足していたみたい。

えぇ~……。

しかも修復されたエレナの胸と女性器はかなり本格的に作られていて、女性器については男性器が入る太さのチューブがついていて性交も可能……というか、実際に性交した痕跡もあったんだってさ……。

はい、ツーアウト……。
純愛だから無罪!逮捕されたけど罪に問われなかったカール

そして時は過ぎエレナの墓を暴いてから7年後の1940年10月にカールは逮捕される事になります。

え?
その7年間、カールはどうしてたのよ。
その7年間、カールはどうしてたのよ。

普通に手作りのエレナと一緒に楽しく暮らしていたみたいだよ。

いや、それは普通じゃないから……。

ちなみに逮捕のきっかけとなったのは「カールの家には死体があって、奴はいつも死体と一緒に眠っている」という噂。

噂もなにも真実だしね……。

そしてエレナには「ナナ」と呼ばれるお姉さんがいたんだけど、その噂がナナの耳にもはいってね。
その時、お姉さんはカールのエレナへの異常なまでの執着心を思い出してエレナの霊廟を訪れて遺体を確認したんだ。
その時、お姉さんはカールのエレナへの異常なまでの執着心を思い出してエレナの霊廟を訪れて遺体を確認したんだ。

ほう。

すると当然、そこにはエレナの遺体は無い。
この時点でカールが持ち出したと確信したエレナはカールの家を訪ねたんだ。
この時点でカールが持ち出したと確信したエレナはカールの家を訪ねたんだ。

ふんふん。

するとカールは悪びれることなく
「エレナなら今、私のそばで幸せに暮らしている。君には関係ない話だ。」
と言って相手にされなかったらしい。
「エレナなら今、私のそばで幸せに暮らしている。君には関係ない話だ。」
と言って相手にされなかったらしい。

何、開き直っちゃってんのよ……。

そしてナナがいくら「妹の遺体をお墓に戻して」と頼んでも、カールは
「彼女とは一生添い遂げる約束をした。私もいつかはエレナと共に墓に入る時が来るが、それは今じゃない。」
と言い、遺体を返してもらえなかったんだって。
「彼女とは一生添い遂げる約束をした。私もいつかはエレナと共に墓に入る時が来るが、それは今じゃない。」
と言い、遺体を返してもらえなかったんだって。

もうだいぶヤバイ人になっちゃってるわね……。

で、ナナはひとまず引き下がったんだけど、当然そのまま警察に通報。
そしてカールは墳墓発掘と死体損壊の罪で逮捕されてしまうんだ。
そしてカールは墳墓発掘と死体損壊の罪で逮捕されてしまうんだ。

まぁそりゃそうよね。

ただ、エレナの家族からすれば信じられ無いような結果が待っています。

ん?

カールは逮捕こそされたものの、公訴時効が成立していて罪を問う事ができず、無罪放免になってしまうんだ。

公訴時効って何?

公訴っていうのは検察側(警察)が犯罪者に対して有罪を求める事なんだけど、フロリダ州では2年間という決まりがあったんだよ。

ふんふん。

一方でカールがエレナの墓を暴いて死体を加工したのは7年前。
つまり逮捕された時点では既に時効が成立していたってわけ。
つまり逮捕された時点では既に時効が成立していたってわけ。

え……えぇぇえ……。
そんな事ってあるの……?
そんな事ってあるの……?

まぁ実際にあった話だしね。
ちなみに逮捕されたときにカールは精神鑑定を受けることになるんだけど、そこで更にぶっ飛んだ新たな計画も明るみになるんだ。
ちなみに逮捕されたときにカールは精神鑑定を受けることになるんだけど、そこで更にぶっ飛んだ新たな計画も明るみになるんだ。

今以上にぶっ飛んだ計画なんてあるの……?
エレナを宇宙に飛ばせば蘇生できると信じていた……?

カールが逮捕された時に行われた精神鑑定では、裁判を受けるに堪えうると判断されたんだけど、その時に新たに発覚したのが「エレナを宇宙に飛ばす」という計画。

……はい?

なんでもカール曰く、
「宇宙の放射線に晒すことでエレナの体の組織が活性化し、睡眠状態から目覚める。」
と考えていたらしくて、手製のロケットを作りエレナの遺体を大気圏外に発射しようと考えていたみたいんだ。
「宇宙の放射線に晒すことでエレナの体の組織が活性化し、睡眠状態から目覚める。」
と考えていたらしくて、手製のロケットを作りエレナの遺体を大気圏外に発射しようと考えていたみたいんだ。


……。
内蔵とかを自分で抜いたのに……?
内蔵とかを自分で抜いたのに……?

もうこの時点でカールは大分おかしくなっていたのかもしれないね。

墓を掘り返したあたりで既におかしいけどね……。
というか、よくそんな誇大妄想に憑りつかれている人を精神鑑定で異常なしって言えたわね……。
というか、よくそんな誇大妄想に憑りつかれている人を精神鑑定で異常なしって言えたわね……。

で、話を戻すけどカールは無罪にはなったものの、エレナは再び埋葬するように命令がでたんだ。

え、また暴かれるんじゃないの?

もちろんカールには場所を知られないように細心の注意を払ってね。

そしてエレナと引き裂かれたカールの奇行はここで終わるかと思いきや……。

まだなんかあるの……。

今度はデスマスクや彫像を作り始めたんだ。
最後までエレナ一筋だったカール

カールはエレナを取り上げられて以降、フロリダ州のパスコという所に引っ越し、そこで隠遁生活を送っていたんだ。

ふんふん。

ただエレナに対しての想いは冷めることなく、自伝を書いて雑誌に掲載したり、エレナのデスマスクを作ったり、等身大の彫像を作ったりしていたんだって。

ちなみにこれが当時のカールとエレナのデスマスク。


ここまで一人の女性を愛せるって、逆に凄いと思い始めてきた……。

そして1952年にカールは還らぬ人となるんだけど、カールの遺体を発見した警察が言うには
「カールは等身大の女性をかたどった彫像に抱きかかえるように死んでいた。」
と証言したらしいよ。
「カールは等身大の女性をかたどった彫像に抱きかかえるように死んでいた。」
と証言したらしいよ。

最後の最後までエレナ一筋だったのか……。
まとめ

以上が「カールとエレナの究極のラブストーリー」でした。
どうだった?
どうだった?

んー……。んんん~……。
なんだろう、このモヤっとした感じ……。
なんだろう、このモヤっとした感じ……。

最初はロリコンのネクロフィリアが死体を好き放題している話かと思っていたんだけど、なんか最後の最後まで本当にエレナ一筋だったみたいだし、最後の方はうっかり感動しそうになっちゃったわ……。

今回の事件は当時のアメリカでも話題となったみたいだけど、マキエみたいに
「本当にエレナの事が好きだったんだね。なんてかわいそうなおじいさん。」
っていう意見が殆どだったらしいよ。
「本当にエレナの事が好きだったんだね。なんてかわいそうなおじいさん。」
っていう意見が殆どだったらしいよ。

それもどうかとは思うけどね……。

まぁ狂気の犯行と取るか、究極のラブストーリーと取るかは人それぞれじゃないかな。
実際、ストーカーと純愛も紙一重って言うしね。
実際、ストーカーと純愛も紙一重って言うしね。

それについては「イケメンは純愛でブサメンはストーカー」って答えが出てるって聞いた事あるけど?

あっ……。そうですか……。

ちなみにアンタはストーカー側だから。

それ、わざわざ言う必要ある!?
それも「エレナ 究極のラブストーリー」についてご紹介したいと思います!