わらべ歌にもなっている連続殺人事件……?
うん。実はイギリスには「バークとヘア(Burke and Hare)」っていうわらべ歌があるんだけど、その歌は二人の連続殺人犯がモデルとなっていてね。
今回はその元ネタとなった連続殺人事件を紹介しようかなって。
今回はその元ネタとなった連続殺人事件を紹介しようかなって。
えぇ~……。
いったいどんな歌なのよ……。
いったいどんな歌なのよ……。
わらべ歌自体は意外と普通だよ。
『近くの階段を上る。
そこにはバークとヘア。
バークは肉屋、ヘアは泥棒。
ノックス少年は牛肉を買う。
(Up the close and doon the stair,)
(But and ben’ wi’ Burke and Hare.)
(Burke’s the butcher, Hare’s the thief,)
(Knox the boy that buys the beef.)』
ってう短い歌で、子供たちが縄跳びをしたり石蹴りをする時とかに歌ったりするんだって。そこにはバークとヘア。
バークは肉屋、ヘアは泥棒。
ノックス少年は牛肉を買う。
(Up the close and doon the stair,)
(But and ben’ wi’ Burke and Hare.)
(Burke’s the butcher, Hare’s the thief,)
(Knox the boy that buys the beef.)』
うーん……。
なんか意味深な感じがする歌ではあるけれど、そこまで変な歌ではないわね……。
なんか意味深な感じがする歌ではあるけれど、そこまで変な歌ではないわね……。
じゃぁ、その元となった事件はどんな事件なの……?
事件の全貌を一言でいうなら
「新鮮な人間の死体を売るために自分たちで殺人を起こして死体を作り出していった」
って感じかな。
「新鮮な人間の死体を売るために自分たちで殺人を起こして死体を作り出していった」
って感じかな。
何を言っているかよくわからないけど、ロクな事件じゃなさそうね……。
それじゃ早速紹介していきまっす!
安ホテルのオーナー「ヘア」と長期滞在人の「バーク」
それじゃ改めて今回紹介する話は「バークとヘア連続殺人事件」!
1827年にイギリスのエジンバラで発生した連続殺人事件についてでっす!
1827年にイギリスのエジンバラで発生した連続殺人事件についてでっす!
当時、エジンバラには「タナーズ・クローズ」という安ホテルがあって、そのホテルは「ウィリアム・ヘア」という人物が経営していたんだ。
そのウィリアム・ヘアってのが“バークとヘア”のヘア?
そそ。
一方でそのホテルには「ジョン・バーク」という人物が宿泊していて、このジョン・バークが“バークとヘア”のバーク。
一方でそのホテルには「ジョン・バーク」という人物が宿泊していて、このジョン・バークが“バークとヘア”のバーク。
ちなみにバークは一応宿泊客という立場だけど住所不定で長い間ずっと宿泊し続けていて、ほとんど住んでいるような状態だったらしい。
安ホテルをアパート代わりにしていたって感じ?
そそ。そんな感じ。
二人は付き合いも長くて親しい友人みたいな関係だったんだって。
二人は付き合いも長くて親しい友人みたいな関係だったんだって。
ふーん。
そしてある日、バークと同じように長期滞在していた老人がホテルの室内で病死しているのが発見されたんだ。
ほう……。
当然、ヘアは警察に通報。
その結果、老人は病死と判定されたんだけど、その病死した老人は身寄りがなくてホテルのオーナーであるヘアが後処理をしなければいけなくなってしまう。
その結果、老人は病死と判定されたんだけど、その病死した老人は身寄りがなくてホテルのオーナーであるヘアが後処理をしなければいけなくなってしまう。
後処理?
まぁ具体的には葬儀とか埋葬とかだね。
ああ。なるほど。
ヘアは余計な出費を強いられたうえ、その老人は宿泊費が未払いだったせいで、このままでは大損してしまう。
そんな時、ヘアは「大学の医学部が死体をこっそり買い取ってくれる」という噂話を思い出したんだ。
そんな時、ヘアは「大学の医学部が死体をこっそり買い取ってくれる」という噂話を思い出したんだ。
大学が死体を買う……?
実は当時のイギリスは死体の盗掘や死体売買の最盛期だったんだよ。
19世紀のイギリスは死体盗掘の最盛期……?
話を進める前に先に当時のイギリス情勢について紹介する必要があるんだけど、さっきも言った通り当時のイギリスやエジンバラでは死体の盗掘や死体売買が頻繁に行われていたんだ。
死体の盗掘や死体売買……?
どういう事……?
どういう事……?
19世紀のイギリスは医学の発展のために人体の解剖が頻繁に行われていていたんだよ。
ところが合法で解剖が行えるのは処刑された犯罪者のみだったから医科大学では圧倒的に死体不足だったんだって。
ところが合法で解剖が行えるのは処刑された犯罪者のみだったから医科大学では圧倒的に死体不足だったんだって。
あ、なんか見えてきた……。
つまり違法な死体の売買が行われていたって事……?
つまり違法な死体の売買が行われていたって事……?
そのおとり。
そんな情勢で金もうけを思いついたのがスラム街に住むような浮浪者たち。
彼らはお金欲しさに埋葬された死体を掘り起こしては秘密裏に医療機関や医科大学に死体を売りつけるというビジネスを始めたんだよ。
そんな情勢で金もうけを思いついたのがスラム街に住むような浮浪者たち。
彼らはお金欲しさに埋葬された死体を掘り起こしては秘密裏に医療機関や医科大学に死体を売りつけるというビジネスを始めたんだよ。
今じゃ考えられないわね……。
というか、そもそも死体がそんな簡単に売買できたの……?
というか、そもそも死体がそんな簡単に売買できたの……?
当時でも死体の売買は違法だけど、割と手軽に売買できたみたいだよ……。
マジか……。
死体の盗掘で生計を立て始めたバークとヘア
それじゃ話を戻すけど、病死した老人の後処理をしなければいけなくなった時、死体売買の噂を思い出したヘアはダメ元でエジンバラ大学医学部教授のロバート・ノックス教授に死体を買い取ってもらうようお願いしたんだ。
するとびっくりするほどあっさりと買い取ってもらう事になったんだって。
マジか……。
ただ死体を一人で運ぶのは困難だったため、ヘアはバークに事情を話して「分け前を渡すから死体の運搬を手伝ってくれ」と協力を依頼。
バークもお金をもらえるならと快諾して、結果に二人は7ポンドという大金を手に入れたんだ。
バークもお金をもらえるならと快諾して、結果に二人は7ポンドという大金を手に入れたんだ。
7ポンドっていくらぐらい?
んー。
当時は300ポンドあれば1年は裕福に暮すことができたって言われているみたいだから、今だと1万円~3万円ぐらいの価値はあるんじゃないかな。
当時は300ポンドあれば1年は裕福に暮すことができたって言われているみたいだから、今だと1万円~3万円ぐらいの価値はあるんじゃないかな。
臨時収入にしてはかなりの額ね。
そだね。
ちなみに老人の滞納していた家賃は4ポンドだったそうだから、ヘアは葬儀費用も支払わずに済んだうえ、家賃以上のお金を回収することができたんだって。
ちなみに老人の滞納していた家賃は4ポンドだったそうだから、ヘアは葬儀費用も支払わずに済んだうえ、家賃以上のお金を回収することができたんだって。
そして死体がお金になると分かった二人は死体泥棒を始めることにしたんだ。
安直すぎるでしょ……。
そこで二人が最初に思いついたのが墓荒らし。
二人は夜な夜な近くの墓地をほり起こしては死体を盗んで病院に売りさばいていたんだって。
二人は夜な夜な近くの墓地をほり起こしては死体を盗んで病院に売りさばいていたんだって。
お金のためとはいえ、よくやるわね……。
そしていくつかの死体を売る事に成功はしたものの、この墓荒らしは非常に効率が悪くて思っていたほどの稼ぎにはならなかったんだ。
ん、どゆこと?
さっきも言った通り大学が死体を購入するのはあくまで研究のためだから、状態が悪い死体や腐敗が進んだ死体は買い取らなかったんだ。
一方で墓荒らしでは大学が買い取ってくれるような新鮮な死体を見つけることは難しかったんだよ。
一方で墓荒らしでは大学が買い取ってくれるような新鮮な死体を見つけることは難しかったんだよ。
ああ、なるほど……。
で、二人はこう思うわけだよ。
「新鮮な死体が無いのなら、自分たちで作ればいいじゃないか」
ってね。
「新鮮な死体が無いのなら、自分たちで作ればいいじゃないか」
ってね。
あ~……。
そこにつながるのか……。
そこにつながるのか……。
死体泥棒が連続殺人犯へ……。
幸か不幸かヘアのホテルは安ホテルだったせいで、宿泊客達はその日暮らしの人や住所不定で行方不明になっても騒ぎにならない人たちばっかり。
そんな宿泊客に目を付けたバークとヘアはちょうど体調を崩して寝込んでいた客の一人を窒息させて殺害。
そしてその日のうちにノックス教授に届けると、「状態が良い」という理由で10ポンドで購入してくれたそうなんだ。
そしてその日のうちにノックス教授に届けると、「状態が良い」という理由で10ポンドで購入してくれたそうなんだ。
なんかまるで鮮魚のような扱いね……。
そしてコツをつかんだ二人は事前にターゲットを決め、酒に誘って泥酔状態にして窒息させるという方法で次々と宿泊客を殺してはノックス教授のもとへと売りに行ったんだって。
ノックス教授はおかしいとは思わなかったのかしら……。
もちろん教授もバカじゃない。
当然おかしいとは思っていたみたいだよ。
当然おかしいとは思っていたみたいだよ。
じゃぁなんで何も言わずに死体の購入を続けたのよ。
おかしいとは思っていたみたいだけど、それ以上に研究用の死体が欲しかったんで見て見ぬふりをしたんだってさ。
ノックス教授ってのも大概な人だったのね……。
あ、もしかしてわらべ歌に出てきた
“ノックス少年は牛肉を買う。”
ってところのノックスってこのノックス教授の事?
“ノックス少年は牛肉を買う。”
ってところのノックスってこのノックス教授の事?
そうだよ。
あの歌はヘアとバークだけじゃなくノックス教授の3人の事を歌った歌なんだ。
あの歌はヘアとバークだけじゃなくノックス教授の3人の事を歌った歌なんだ。
少年じゃないじゃん……。
まぁその辺はわらべ歌だから改変されているんじゃないかな。
で、話を戻すけど最初のころは上手く殺人を犯していた二人だけど、次第に欲をかきすぎた結果、二人の犯罪は一気に露呈してしまうこととなるんだ。
ついに事件が発覚!処刑になったバーク自身も解剖行きに!
ホテルの宿泊客を殺害していた二人は大胆にも宿泊客以外にも手を出し始めてしまう。
さらにロクに下調べをしていなかったせいで居なくなったら問題になる人達にまで手を出してしまったんだよ。
さらにロクに下調べをしていなかったせいで居なくなったら問題になる人達にまで手を出してしまったんだよ。
居なくなったら問題になる人達?
単純に家族持ちとか地元での有名人とかね。
ああ、なるほど。
そして逮捕のきっかけとなった被害者が「マリー・パターソン」という女性。
マリーは町では名の知れた娼婦で常連客も多く、地元では割と顔の知られた存在だったんだ。
マリーは町では名の知れた娼婦で常連客も多く、地元では割と顔の知られた存在だったんだ。
ふんふん。
ただ、そんな事を知らなかった二人はいつもと同様にマリーをホテルに招き入れて殺し、そしてノックス教授へ売りさばいてしまう。
そしてマリーには娘がいて居なくなった母親を探していたんだけど、二人は母親はホテルに宿泊中だと嘘をつきホテルに招き入れて殺害。
母親と同様にノックス教授に売りさばいてしまう。
母親と同様にノックス教授に売りさばいてしまう。
娘にまで手を出すなんて酷すぎるでしょ……。
だよね……。
ただこの事が事件の発覚へとつながるんだ。
ただこの事が事件の発覚へとつながるんだ。
マリーが居なくなったことは夜の街では有名になっていて警察に捜索願を提出。
一方でマリーを買い取ったノックス教授はマリーの事を知らなかったんだけど、死体の解剖を行うときに一緒にいた助手がマリーの常連客の一人でマリーの所在が明らかになったんだ。
一方でマリーを買い取ったノックス教授はマリーの事を知らなかったんだけど、死体の解剖を行うときに一緒にいた助手がマリーの常連客の一人でマリーの所在が明らかになったんだ。
人間の縁って不思議な物ね……。
だね。
そしてマリーを運び込んだのがバークとヘアという事が判明し、警察はヘアのホテルの抜き打ち調査を実施したんだ。
そしてマリーを運び込んだのがバークとヘアという事が判明し、警察はヘアのホテルの抜き打ち調査を実施したんだ。
一方で警察が調査に来た時、丁度バークとヘアは次の死体を売り飛ばす準備をしていたところで、その現場を見られてしまう。
そして緊急逮捕された二人は13件の殺害容疑で起訴されて、最終的にバークは絞首刑に処される事となったんだ。
そして緊急逮捕された二人は13件の殺害容疑で起訴されて、最終的にバークは絞首刑に処される事となったんだ。
13件……。
かなりの人たちを殺していたのね……。
かなりの人たちを殺していたのね……。
だね。
しかも皮肉な事に絞首刑になったバークの死体は解剖用の研究素材として回される事になった上、送られた先が自分たちが死体を売り払っていたエジンバラ大学医学部だったりします。
しかも皮肉な事に絞首刑になったバークの死体は解剖用の研究素材として回される事になった上、送られた先が自分たちが死体を売り払っていたエジンバラ大学医学部だったりします。
因果応報とはまさにこの事ね……。
あれ?
ところでヘアは?
ところでヘアは?
ヘアは牢屋に投獄はされたものの、死刑にはなっていません。
え、なんで?
実はヘアは司法取引を持ち掛けられてね。
犯罪の自供とバークの告発を行えば罪状を軽減してもらえる事になっていたんだ。
犯罪の自供とバークの告発を行えば罪状を軽減してもらえる事になっていたんだ。
え、つまりヘアはバークを売ったの……?
そう。
一度は牢獄に投獄されていたものの、3カ月後には普通に釈放されたみたいだね。
一度は牢獄に投獄されていたものの、3カ月後には普通に釈放されたみたいだね。
えぇぇ……。どこまでも見下げた男ね……。
しかも罪が軽すぎない……?
しかも罪が軽すぎない……?
ただ今回の事件はかなり話題になっていたからヘアは死刑にはならなかったものの、まともな生活は送れなくなって最終的にはホームレスとなって命を落としたって言われているみたいだね。
まぁ自分がした事を考えれば当然の結果と言えば当然の結果よね……。
そういえば死体を購入していたノックス教授は?
ノックス教授については殺人については関与していなかったから罪には問われなかったみたい。
ただ違法な方法で死体を入手していたって事で大学にいられなくなったみたいだけどね。
ただ違法な方法で死体を入手していたって事で大学にいられなくなったみたいだけどね。
全員、それ相応の罰を受けてる感じね。
まとめ
以上がエジンバラで起きた連続殺人事件「バークとヘア連続殺人事件」についてでした。
どうだった?
どうだった?
人間、やっぱり欲をかきすぎると失敗するわね……。
その事については同意するけれど、結論をソコに持っていくのはどうかと思う……。
あっ、ちなみに余談だけど、王立エディンバラ外科学校にはバークの皮膚によって作られたカードケースが展示されていたりします。
え……、人間の皮のカードケース……?
あとエジンバラ大学医学校にはバークの骨格標本が残ってたりするしね。
あっほんとだ……。
名札にウィリアム・バークって書いてある……。
名札にウィリアム・バークって書いてある……。
確かに名前が書いてはあるけれど、これって名札ではないんじゃないかな……。
それもわらべ歌にもなっている「バークとヘア連続殺人事件」についてご紹介したいと思いまっす!